ノーフォーク・テリアは、イギリス東部で作られた、最小クラスのテリアの一つです。垂れ耳と、がっしりした小さな体が特徴で、愛らしい見た目とは裏腹に、勇敢な猟犬の気質を受け継いでいるといわれています。立ち耳のノーリッチ・テリアとは、かつて同じ犬種として扱われていました。この記事では、成り立ち、性格、日本の暮らしで気をつけたい点、迎える前に確認したいことまでを、犬種標準や獣医関連メディアの情報をもとに整理します。
| 原産国 | イギリス |
| 体高 | 約23〜26cm程度(情報源により差がある) |
| 体重 | 約5.0〜5.5kg程度(11〜12ポンド) |
| 性格の傾向 | 愛らしく好奇心旺盛、勇敢といわれる |
| 平均寿命 | 12〜16年程度(情報源により12〜14年とも) |
ノーフォーク・テリアの成り立ち
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準によると、ノーフォーク・テリアは19世紀後半に、イングランド東部のノーフォーク州の州都ノーリッチで作られました。小型で丈夫、猟欲の強い犬を目指して作られ、猟師やケンブリッジ大学の学生に人気があったとされています。作出には、小型のアイリッシュ・テリア、ボーダー・テリア、グレン・オブ・イマール・テリアなどが使われたと説明されています。
Wikipediaは、1880年代に東アングリアで作業用のテリアが作られ、ケンブリッジ大学の学生が部屋で飼ったことから「カンタブ・テリア」と呼ばれ、のちに「トランピントン・テリア」とも呼ばれたと紹介しています。20世紀初めには、フランク・ジョーンズという人物がアメリカにこの種類のテリアを多く販売し、「ジョーンズ・テリア」と呼ばれたとされています。
犬種としての区別は、耳の形で行われました。JKCによると、1932年に英国ケネルクラブへ「ノーリッチ・テリア」として登録され、1964年に垂れ耳のタイプが「ノーフォーク・テリア」として独立しました。VCAは、AKCでは1936年にノーリッチ・テリアが認められ、垂れ耳のノーフォーク・テリアが別の犬種になったのは1979年としています。国によって認定の年が異なるためです。兄弟犬種のノーリッチ・テリアの記事も参考にしてください。作出に使われたとされるアイリッシュ・テリアやボーダー・テリアの記事もあわせてどうぞ。
ノーフォーク・テリアの性格
JKCの犬種標準は、愛らしく、好奇心旺盛でいたずら好きな性格だとし、けんか好きではなく、機敏で怖がらない気質だと述べています。PetMDは、愛情深く元気で、子どもにも辛抱強いとしています。AKCのページは、小さくてかわいらしく忠実で、膝の上に座るのも好きだとしながら、本物のテリアとして、きかん気が強く自信があり、頑丈で冒険好きだとも述べており、おとなしい抱っこ犬ではないと紹介しています。
一方で、猟犬としての本能もあります。PetMDは、獲物を追う本能が強い個体が多く、猫やほかの小動物とうまく暮らせない場合があるとしています。吠え声については、VCAが「テリアらしさがきわめて強く」、外の物音を知らせる大きな声で吠えるとしています。これに対しWikipediaは、よく吠える犬種ではなく、番犬として必要なときに吠えると紹介しており、情報源によって書き方が異なります。Wikipediaは、テリアのグループの中では、ノーリッチやボーダーとともに穏やかな気質のものの一つとしています。
しつけについて、PetMDは、とても賢く、人を喜ばせたがるため、ほめ言葉や遊び、食べ物を使った前向きな方法がよく合うとしています。VCAは、覚えは早いものの頑固になることもあり、活動を頻繁に切り替える、創意工夫のある楽しい進め方が向くと述べています。
身体的特徴
- 体高:JKCの犬種標準では理想は25〜26cmです。PetMDは10インチ(約25cm)まで、VCAは9〜10インチ(約23〜25cm)としています。Wikipediaは理想を9〜10インチ(約23〜25cm)と紹介しています
- 体重:PetMDとVCAはどちらも11〜12ポンド(約5.0〜5.4kg)です。JKCの犬種標準のページでは体重の記載を確認できませんでした
- 被毛:硬く粗い質感の二重の被毛です(PetMD)。JKCの犬種標準が挙げる毛色は、レッド、ウィートン、ブラック&タン、グリズルです
- 体つき:JKCの犬種標準は、最小クラスのテリアの一つで、体高が低く、機敏でコンパクトな、頑丈な体つきとしています。耳は垂れ耳です
体高や体重は、情報源により表し方が異なり、個体差もあるため、目安として捉えてください。
飼い方のポイント
被毛のお手入れ
PetMDは、年に数回のハンド・ストリッピング(古い毛を手で抜く方法)が必要で、年2回ほど毛が生え替わるとしています。入浴は4〜6週間ごとが目安とされ、2週間より短い間隔は避けるよう案内されています。目の周りは毎日ふき、耳の掃除は1〜2週間に1回が目安です。VCAは、ハンド・ストリッピングを3か月に1回ほど行うのが目安とし、バリカンなどで刈ると毛質がやわらかくなっていくと述べています。ふだんは週に数回、コームでとかすとよいとされています。
運動と頭を使う遊び
PetMDは、遊びや長めの散歩など、毎日しっかり体を動かすことが必要としています。長い時間留守番をさせる前には、運動をしておくとよいとされています。VCAは、とくに若いうちは、定期的に活発に運動させるのが望ましいとしています。運動や刺激が足りないと、むだ吠えや穴掘りなど、退屈から来る行動が出ることがあると、PetMDは述べています。
日本の住環境で気をつけたいこと
集合住宅と吠え声
体が小さく、5kg前後の体重のため、住まいの広さの面では暮らしやすいと考えられます。ただし、情報源によって吠え声の評価が異なるため、集合住宅では、隣の部屋の物音や来客に反応して吠えないよう、早いうちから落ち着く練習を始めておくと安心です。管理規約で飼える犬の大きさや頭数が決まっていることもあるため、迎える前に確認が必要です。
梅雨の湿気と被毛・耳のケア
日本の梅雨から夏は、湿度が高くなる時期です。被毛が硬い二重構造のため、散歩や入浴のあとは、根元までしっかり乾かすことが大切と考えられます。PetMDが案内するように、耳や目の周りもこまめに確認しておくと、変化に気づきやすくなります。
ハンド・ストリッピングを頼めるサロン探し
ハンド・ストリッピングは、トリミングサロンによって対応の可否が異なります。迎える前に、近くに対応してくれるサロンがあるか、料金と頻度の目安はどのくらいかを確認しておくと、迎えたあとに慌てずに済みます。自宅でできる範囲については、サロンやブリーダーに相談するとよいでしょう。
散歩中の飛び出しと小動物
獲物を追う本能が強いとされるため、日本の住宅街や公園でも、猫や小鳥を見つけて急に走り出す可能性があります。リードを短めに持ち、首輪やハーネスが体に合っているかを確認し、玄関の出入りでは扉を開ける前にリードをつけるなど、脱走の対策をしておくと安心です。
迎える前に確認したいこと
- 運動と遊びの時間:毎日の散歩に加え、遊びや頭を使う時間を確保できるか
- 留守番の長さ:PetMDは、運動不足や退屈がむだ吠えや穴掘りにつながるとしています。長時間の留守が多い生活ではないか
- ほかの動物との暮らし:猫や小動物がいる家庭では、慣らし方を事前に考えておくこと
- 被毛の手入れ:ブラッシングや、年に数回のハンド・ストリッピングに対応できるサロンが近くにあるか
- 親犬の健康:VCAは、親犬の股関節と膝の検査結果をブリーダーに確認するよう案内しています
- 費用の見通し:フード代、トリミング代、医療費などが、12年以上続く費用として考えられるか。ペット保険は入るべきか?メリット・デメリットの記事も参考になります
- 法律上の手続き:生後91日以上の犬は、飼い始めてから30日以内に市町村へ登録し、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせる必要があります(厚生労働省)
- 終生飼養:動物愛護管理法は、平成24年の改正で、飼い主が最後まで責任をもって飼うこと(終生飼養)を明文化しています(環境省)
かかりやすい病気
ノーフォーク・テリアがかかりやすいとされている病気には、以下のようなものがあります。すべての個体がかかるわけではありません。気になる症状がある場合は自己判断せず、必ず獣医師に相談してください。
- 膝蓋骨脱臼(パテラ):膝のお皿の骨が、本来の溝から外れる状態です。PetMD、VCA、Wikipediaが挙げています。PetMDは、体重を適正に保つことが大切で、軽い場合は経過観察や薬、重い場合は手術が検討されるとしています
- 股関節形成不全:股関節がゆるく、軟骨や骨がすり減って、やがて関節炎につながる遺伝性の病気です。PetMD、VCA、Wikipediaが挙げています。Wikipediaは、米国の団体OFAの評価で「優秀」とされたノーフォーク・テリアはいないと紹介していますが、これは一部の解説での記載です
- 僧帽弁疾患(粘液腫様僧帽弁疾患):心臓の弁が変性して血液が逆流する病気で、PetMDは心臓の雑音や心臓の拡大がみられることがあり、うっ血性心不全に進む場合があると説明しています。Wikipediaも僧帽弁疾患を挙げています。VCAは「心臓の病気」とのみ記載しています。PetMDは年1回の健康診断を案内しています
- 歯の病気:歯垢や歯石による炎症が、歯や骨の傷みにつながる病気です。PetMDは、毎日の歯みがきと、麻酔をかけて行う歯科処置を案内しています(一部の解説での記載)
- アレルギー:VCAが挙げていますが、説明は載っていません(一部の解説での記載)。かゆがる様子や皮膚の赤みなどが続く場合は、獣医師に相談してください
このほか、Wikipediaは噛み合わせの不正(出っ歯や受け口)を挙げています。定期的な健康診断を受け、食欲、歩き方、咳、皮膚の様子を日ごろから確認しておくことが大切です。
平均寿命
PetMDは12〜16年、VCAは12〜14年としています。Wikipediaが紹介する英国の2024年の調査では、13.5年とされています。12〜16年程度がひとつの目安ですが、情報源により幅があり、個体差や、飼育環境、健康管理によっても変わります。
まとめ
ノーフォーク・テリアは、愛らしい見た目と勇敢な気質をあわせもつ小型のテリアです。猟犬の本能から、獲物を追う習性や、むだ吠え・穴掘りへの備えが必要です。硬い被毛の手入れ、膝や股関節、心臓、歯などの病気への備えも考えておきたい点です。性格や手間、費用を踏まえ、家族全員で迎える準備ができているか確認してから検討することが望ましいです。気になる症状があれば、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
参考情報源
- ジャパンケネルクラブ「ノーフォーク・テリア」(犬種標準)
- PetMD「Norfolk Terrier」
- VCA Animal Hospitals「Norfolk Terrier」
- American Kennel Club「Norfolk Terrier」
- Wikipedia「Norfolk Terrier」
- 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」
- 環境省「動物愛護管理法」
ノーフォーク・テリアと暮らす人へ
本記事は、JKC(ジャパンケネルクラブ)等の公的資料や獣医療・ペット関連の専門メディアの情報をもとに、編集部で内容を確認のうえ作成しています。編集方針の詳細は運営者情報をご覧ください。



