アラスカン・マラミュートは、アメリカ・アラスカ原産の大型のそり犬です。厚いダブルコートと、深い胸の力強い体を持ち、重い荷物を長く運ぶために作られた犬といわれています。この記事では、成り立ち、性格、日本の暮らしで気をつけたい点、迎える前に確認したいことまでを、犬種標準や獣医関連メディアの情報をもとに整理します。大型犬を初めて迎える人も、判断の材料にしてください。
| 原産国 | アメリカ |
| 体高 | 約58〜64cm程度(JKCの好ましいサイズはオス63.5cm・メス58.5cm) |
| 体重 | 約34〜39kg程度(JKCの好ましいサイズはオス38kg・メス34kg) |
| 性格の傾向 | 愛情深く友好的、独立心が強いといわれる |
| 平均寿命 | 10〜14年程度 |
アラスカン・マラミュートの成り立ち
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準によると、アラスカ西部の海岸地方に住むマラミュート族が、そり引き、狩猟、漁業に使っていた犬が起源です。祖先犬はシベリア原産と考えられています。PetMDは、アザラシ猟の補助やホッキョクグマを遠ざける役割、重い荷物を運ぶ役割を担っていたと紹介しています。
1890年代のゴールドラッシュで、そり犬の価値が高まりました。JKCによると、その後に賞金つきのそりレースが流行し、他の犬種との交雑が進み、特に1909年からの10年間に目立ちました。のちに純粋な犬を残す動きが起こり、1926年以降に改良が試みられ、AKCの登録第1号は1935年です。Wikipediaは、第二次世界大戦の影響で数が大きく減り、1947年には登録犬が約30頭だったと推定されていると説明しています。スピードではなく、力強さと持久力を重んじて作られた犬種だとされています。同じ北方系のシベリアン・ハスキーは、より速さを重視した犬種で、体の作りや気質が異なります。
アラスカン・マラミュートの性格
JKCの犬種標準は、愛情深く友好的で、特定の一人にだけ尽くす「ワンマンドッグ」ではないとしています。忠実で献身的な伴侶として、いつでも遊びに付き合う面があり、成犬になると威厳が備わるとされています。PetMDも、家族には愛情深く、注目されることを好むと述べています。
一方、VCAは、非常に独立心が強く、頑固な面もあるとしています。賢いものの、一貫した枠組みが必要な犬種です。PetMDは、納得できない指示には従わないことがあり、保護団体の言葉として「聞こえないふり」と紹介しています。知恵が働くため、食べ物に手が届く方法や、庭から出る方法を見つけてしまうこともあるそうです。また、「アウー」という声でよく意思を伝えるとされています。獲物を追う本能が強く、小さな動物とは合わない場合があるため、子犬のころからの社会化が大切です(PetMD、VCA)。
子どもとの相性について、VCAは大人の見守りがあればおおむね良好とし、PetMDは体の大きさと力から、幼い子どもとの組み合わせには注意が必要としています。ロイヤルカナンの日本語ページは、経験豊富な飼い主に向く犬種と紹介しています。
身体的特徴
- 体高:PetMDとVCAは23〜25インチ(約58〜64cm)としています。JKCの好ましいサイズは、オス63.5cm、メス58.5cmです
- 体重:PetMDとVCAは75〜85ポンド(約34〜39kg)です。JKCの好ましいサイズは、オス38kg、メス34kgです。Wikipediaは、これより重い個体も珍しくないと述べています
- 頭部と耳:JKCによると、頭は幅広く、耳は三角形で、警戒すると立ちます。顔の模様が特徴的です
- 被毛:厚くて粗い毛で、下毛を守るのに十分な長さがあります。色は、ライトグレーからブラック、セーブルからレッドまでさまざまで、単色として認められるのはホワイトのみとされています(JKC)
- 尾:背中に巻き上げ、羽飾りのように見えます(JKC)
体の大きさには個体差があり、情報源によって表し方も異なるため、目安として捉えてください。
飼い方のポイント
運動と退屈への対策
PetMDは、走る、自転車に並走する、ハイキング、そり引きなど、毎日たくさんの運動が必要としています。運動が足りないと、家具をかじるなどの破壊行動につながるとされています。VCAも、引っ張る遊びや、衝動をおさえる訓練、頭を使う活動を勧めています。散歩だけで済ませにくい犬種であり、毎日確実に時間を確保できるかが大きなポイントです。
被毛と抜け毛のお手入れ
PetMDは、厚いダブルコートのため、スリッカーブラシによる毎日のブラッシングを案内しています。シャンプーは6〜8週間に1回ほどが目安とされ、抜け毛は多く、家具やじゅうたん、服に広がるとしています。VCAによると、換毛期は特に抜け毛が多く、より頻繁なブラッシングが必要です。目の汚れは毎日、耳は週1回ほど確認するよう案内されています(PetMD)。
しつけと社会化
PetMDとVCAは、ごほうびを使う前向きな方法を、一貫して続けることが合うとしています。体が大きく力も強いため、子犬のころからの社会化と、リードを引っ張らない練習が欠かせません。経験のある人や、必要に応じて専門家に相談できる環境が望ましいと考えられます。
日本の住環境で気をつけたいこと
暑さ対策
PetMDは、厚い被毛のため暑い気候には向かないとし、VCAも涼しい気候を好むとしています。日本の夏は高温多湿のため、室温を管理できる室内で過ごせることが前提になると考えられます。散歩は気温の低い早朝や夜に行い、地面の熱さにも気をつけます。
体の大きさと集合住宅
約34〜39kgと大きく、力も強いため、集合住宅では管理規約に、飼える犬の大きさや頭数の制限がないか確認が必要です。階段の上り下り、エレベーターでの鉢合わせ、病気やけがのときの移動手段も、事前に考えておくと安心です。声については、PetMDが「アウー」と鳴いて意思を伝えるとしており、近隣への配慮が必要になる可能性があります。VCAは、柵のある屋外スペースがあることが望ましいとしています。
抜け毛と掃除
抜け毛が多いため、室内飼育では、掃除機やブラッシングの頻度が高くなります。換毛期は特に、毎日のブラッシングと掃除の時間を見込んでおくことが望ましいです。
迎える前に確認したいこと
- 運動の時間:毎日、長めの散歩や、引く遊びなどの運動を続けられるか。夏の暑い時期の運動の代わりを用意できるか
- 住まいの環境:室温を管理でき、管理規約で大型犬が認められているか。柵のある屋外スペースが使えると、なお安心です
- 留守番の長さ:PetMDは、長時間の留守番は得意ではなく、仲間と刺激を必要とするとしています
- しつけの進め方:独立心の強さに根気よく付き合い、一貫して続けられるか
- ほかの動物・子どもとの暮らし:獲物を追う本能があり、小さな動物とは合わないことがあります。幼い子どもとの組み合わせは大人の見守りが必要です
- 親犬の検査:PetMDは、繁殖前に軟骨異形成の検査を行うことを、責任あるブリーダーの条件としています。股関節や目の状態についても、ブリーダーに確認しておくと安心です
- 費用の見通し:大型犬のフード代や医療費が10年以上続く費用として考えられるか。ペット保険は入るべきか?メリット・デメリットの記事も参考になります
- 法律上の手続き:生後91日以上の犬は、飼い始めてから30日以内に市町村へ登録し、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせる必要があります(厚生労働省)
- 終生飼養:動物愛護管理法は、平成24年の改正で、飼い主が最後まで責任をもって飼うこと(終生飼養)を明文化しています(環境省)
かかりやすい病気
アラスカン・マラミュートがかかりやすいとされている病気には、以下のようなものがあります。すべての個体がかかるわけではありません。気になる症状がある場合は自己判断せず、必ず獣医師に相談してください。
- 股関節形成不全・肘関節形成不全:関節が正しく育たず、痛みや関節炎につながる病気です。PetMD、VCA、Wikipediaの3つが挙げています。足を引きずる、立ちにくい、座り方が不自然などの様子が手がかりとされ、軽い場合は痛みをやわらげる薬、重い場合は手術が検討されることがあります(PetMD)
- 白内障:目のレンズが白く濁り、徐々に見えにくくなる病気です。PetMDとVCAが挙げ、VCAは高齢期に見られやすいとしています。進行するため、気づいたら早めに動物病院へ相談することが大切です
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが足りなくなる病気で、PetMDとVCA、Wikipediaが挙げています。食事や運動が変わらないのに体重が増える、元気がない、毛が乾いてもろくなる、皮膚や耳の感染をくり返すなどの様子がみられるとされています(PetMD)
- 軟骨異形成:子犬の手足に変形が起こる遺伝性の病気で、「小人症」とも呼ばれます。PetMD、VCA、Wikipediaが挙げ、PetMDは繁殖前の検査の重要性を述べています
- 多発性神経障害:神経の働きに関わる病気で、よく転ぶ、歩き方がおかしい、運動を嫌がる、筋肉が落ちる、声が変わるなどの様子が挙げられています。PetMD、VCA、Wikipediaが挙げ、PetMDは治療法が確立されていないとしています
このほか、VCAは、胸の深い犬に起こりやすい胃拡張・胃捻転や、亜鉛に関わる皮膚の病気(亜鉛反応性皮膚症)を、Wikipediaは糖尿病を挙げています。これらは一部の解説での記載です。胃拡張・胃捻転は緊急性が高いとされる病気のため、食後の様子にも気を配りたいところです。定期的な健康診断を受け、歩き方、体重、目の様子、皮膚と被毛の状態を日ごろから確認しておくことが大切です。
平均寿命
PetMDとVCAは10〜14年、ロイヤルカナンの日本語ページは12〜15歳としています。Wikipediaが紹介する英国の2024年の調査では、平均は11.3年でした。情報源で数字が異なるため、10〜14年程度がひとつの目安です。個体差があり、飼育環境や健康管理によっても変わります。
まとめ
アラスカン・マラミュートは、愛情深く友好的な一方、独立心が強く、運動量の多い大型のそり犬です。日本の夏の暑さへの備え、抜け毛と掃除、約34〜39kgの体の大きさ、関節や遺伝性の病気への備えは、迎える前に確認したい点です。性格や手間、費用を踏まえ、家族全員で準備ができているか確かめてから検討することが望ましいです。気になる症状があれば、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
参考情報源
- ジャパンケネルクラブ「アラスカン・マラミュート」(犬種標準)
- PetMD「Alaskan Malamute」
- VCA Animal Hospitals「Alaskan Malamute」
- ロイヤルカナン「アラスカン・マラミュート」
- Wikipedia「Alaskan Malamute」
- 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」
- 環境省「動物愛護管理法」
アラスカン・マラミュートと暮らす人へ
本記事は、JKC(ジャパンケネルクラブ)等の公的資料や獣医療・ペット関連の専門メディアの情報をもとに、編集部で内容を確認のうえ作成しています。編集方針の詳細は運営者情報をご覧ください。



