アメリカン・スタッフォードシャー・テリアは、アメリカで発展した中型犬です。筋肉質でがっしりした体つきと、飼い主に忠実で人との時間を好む性格が知られ、「アムスタッフ」の愛称で呼ばれることもあります。この記事では、成り立ち、性格、日本の暮らしで気をつけたい点、迎える前に確認したいこと、かかりやすい病気までを、犬種クラブや獣医師向けメディアの情報をもとに整理します。
| 原産国 | アメリカ |
| 体高 | 43〜48cm程度(JKC犬種標準はオス46〜48cm・メス43〜46cm) |
| 体重 | 18〜32kg程度(情報源により異なる) |
| 性格の傾向 | 忠実で人好き、愛情深いといわれる |
| 平均寿命 | 12〜16年程度(多くは12〜14年とする解説もある) |
アメリカン・スタッフォードシャー・テリアの成り立ち
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準によると、この犬種の起源は1800年代初期のテリアやブルドッグにさかのぼります。作出には、スタッフォードシャー・ブル・テリア、ブル・テリア、オールド・イングリッシュ・ホワイト・テリア、ブラック・アンド・タン・テリア、ブルドッグ、マスティフ、ポインター、ダルメシアンなど、多くの犬種が関わったとされています。初期は闘犬としての強さを重視して交配が重ねられ、その結果、スタッフォードシャー・ブル・テリアとは少しずつ異なる犬種になったと説明されています。スタッフォードシャー・ブル・テリアの記事では、イギリスにいる近い犬種を紹介しています。
アメリカのケネルクラブ(AKC)が公認した時期は、JKCでは1935年に「スタッフォードシャー・テリア」として公認され、1972年に現在の名前に改称されたとしています。一方、PetMDとWikipediaは1936年に公認とし、Wikipediaは1969年に改称したとしており、年は情報源により異なります。現在は、ショードッグとしても確かな地位を築いているとJKCは述べています。PetMDは、18世紀のイギリスで、雄牛と闘わせる競技に他の「ブリー」系の犬種とともに使われた流れにさかのぼると紹介しています。
アメリカン・スタッフォードシャー・テリアの性格
JKCの犬種標準には、性格の独立した項目はありません。沿革の記述から、スタミナがあり、勇敢で、適応力と知性があり、防衛能力に優れた犬とされています。獣医師のGeorgina Ushi氏が執筆したPetMDの記事では、愛情深く忠実で、家族に喜んでもらおうとする性格とされています。
人と過ごすことを好み、構造のある暮らしが向く
VCAは、人と関わることを非常に好み、家族と強い絆を築く犬が多いと述べています。ただし、日課やルールがないと、押しが強くなる場面もあるとして、一貫した、ほめて伸ばすしつけが安定した行動を支えると説明しています。PetMDも、意志が強い面はあるものの、飼い主に喜んでもらいたい気持ちがあるため、飽きさせない多様な練習を続けると覚えやすいとしています。
知らない人や他の動物への見方
PetMDは、初対面の人には控えめになることがあり、生まれつきの警戒心を和らげるために社会化が必要としています。獲物を追う本能(プレイドライブ)が強く、小型犬や猫と暮らすのは難しくなりやすい、とも述べています。VCAは、他の犬に対して反応しやすい犬もいるとしています。Wikipediaは、犬種クラブが、よく社会化された犬でも犬同士の攻撃性が起こりうるとして、他の犬と一緒に放置しないよう勧めていると紹介しています(一部の解説での記載)。
子どもとの暮らし
PetMDは、辛抱強く愛情深い反面、犬と子どものやりとりは常に大人が見守る必要があると述べています。小さな動物や幼い子どもとの同居は、経験のある飼い主に向くとも書かれています。守ろうとする気持ちと獲物を追う本能は、日ごろの練習で管理することが勧められています。
不安を感じやすい面
PetMDは、分離不安を含む不安を抱えやすい面があると述べています(一部の解説での記載)。ひとりで過ごす時間を少しずつ延ばす練習が向くと考えられます。また、聞き慣れない物音には声を出すものの、全体としては集合住宅で暮らせる程度に静かとされています。
性格には個体差があり、ここで紹介した内容は犬種としての一般的な傾向です。迎える前に、ブリーダーや動物病院で、親犬や個体の様子を確認しておくと安心です。
身体的特徴
- 体高:JKCではオス46〜48cm、メス43〜46cm。PetMDとVCAは17〜19インチ(約43〜48cm)
- 体重:JKCには具体的な数値の記載がなく「体高と体重は釣り合いが取れていなければならない」とのみ記されています。PetMDとVCAは40〜70ポンド(約18〜32kg)。PetMDは、ほとんどが40〜60ポンド(約18〜27kg)で、メスは軽めとしています。Wikipediaは、本文で約18〜32kg、情報欄で約23〜36kgと、同じページ内で数値が分かれています
- 被毛:短くて硬い単層の毛で、からまりにくいとされます(PetMD)
- 毛色:すべての色、単色、パーティ・カラー、パッチが認められます。ただし、白が80%以上の犬、ブラック・アンド・タン、レバーは勧められないとされています(JKC)
- 体型:均整がとれ、筋肉が発達し、敏捷で優雅。ずんぐりした体つきで、脚が長すぎることも細すぎることもありません(JKC)
JKCは「そのサイズには似つかわしくない強靱さ」を感じさせる犬と説明しています。力が強いため、リードの扱いやしつけの方法を、迎える前から学んでおくと安心です。
飼い方のポイント
運動
PetMDは、1日に60分以上の活発な運動が必要で、数回に分けてもよいとしています。追いかけっこ、綱引き、アジリティ、ボールやフリスビーなどが好まれるとされています。VCAも、日々の活動が心身の安定に必要で、散歩、遊び、決まったルールのある活動がエネルギーの発散になると述べています。
被毛と皮膚のケア
被毛は短く、ブラッシングは数週間に1回程度、抜け毛は中程度とPetMDは説明しています。シャンプーは4〜6週に1回を目安に、肌に優しい製品を使い、洗いすぎで乾燥させないことが案内されています。VCAは、週1回のブラッシング、爪切り、耳の掃除、皮膚の赤みやアレルギーのサインの確認を挙げています。
しつけと社会化
言葉と手の合図によく反応し、飽きさせない多様で活動的な練習が向くとPetMDは述べています。子犬の頃から、人、場所、音、他の犬に慣らす社会化を進めることが大切です。力の強い犬種のため、基本のしつけ(「おすわり」「まて」「呼び戻し」)を早い時期に身につけることが、日常の安全につながると考えられます。
日本の住環境で気をつけたいこと
集合住宅での暮らしと吠え
PetMDは、比較的静かなため、定期的に運動と触れ合いの時間をとれるなら、集合住宅にも向く場合があると述べています。ただし、物音への反応で声を出すことはあります。日本の集合住宅では、管理規約で飼育できる犬の大きさや頭数が定められていることが多く、契約前の確認が必要です。階下に響く足音、玄関先での来客への反応、エレベーターや廊下での他の住民との距離にも配慮したいところです(編集部の考察)。
運動の時間と天候への備え
1日60分以上の運動を確保するには、雨の日や猛暑の日の代わりが必要です。室内での綱引きや、ごほうびを探す知育遊びなどで補えますが、屋外の散歩の代わりにはならないこともあるため、無理のない運動計画を立てておくと安心です。
散歩での他の犬や小動物との距離
他の犬に反応しやすい面や、獲物を追う本能があるため、散歩では他の犬や猫、小動物との距離を保てる時間帯と場所を選びます。リードは短めに持ち、公園やドッグランでは、呼び戻しの練習と、相性の確認ができてから利用することが望ましいです。
夏の暑さと冬の冷え
暑さ寒さへの強さについて、今回確認した資料に具体的な記述はありませんでした。短い単層の被毛(PetMD)であることから、冬の冷え込む朝晩は体を冷やしやすく、日本の高温多湿の夏は熱がこもりやすいと考えられます。散歩の時間帯や室温管理を工夫すると安心です(編集部の考察)。
迎える前に確認したいこと
- 運動の時間:毎日60分以上の運動を、天候に左右されず続けられるか
- 他の犬や小動物との暮らし:犬同士の相性や、猫・小動物との同居について、家庭の状況に合うか
- 子どもとの暮らし:犬と子どもだけにしない体制をつくれるか(PetMD)
- 経験:PetMDは、小動物や幼い子どもとの同居は経験のある飼い主に向くとしています。しつけの経験や、学ぶ姿勢があるか
- 親犬の健康確認:股関節・肘関節の評価や、目の遺伝性の病気について、ブリーダーに検査の有無と結果を確認することが望ましいです(編集部の考察)
- 費用の見通し:関節や皮膚、目の病気は検査や治療が長引くことがあるため、医療費の備えやペット保険の検討が安心です
- 犬種に関する規制:Wikipediaによると、この犬種は、ピット・ブル系や闘犬系の犬種を対象にした規制に含まれることがあり、オーストリア、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、アメリカなどで犬種別の規制があると紹介されています。海外へ連れて行く場合は、事前の確認が必要です
- 家族の合意:しつけの方針や世話の分担を、家族全員で話し合えているか
- 法律上の手続き:91日齢以上の犬は、飼い始めてから30日以内に市町村へ登録し、毎年1回の狂犬病予防注射を受けさせる必要があります(厚生労働省)
- 終生飼養:動物愛護管理法では、終生飼養が明文化されています(環境省)
日本国内での犬種に関する規制の有無や、飼育頭数、入手のしやすさ、価格は、今回の調査では確認できませんでした(Wikipediaの規制国の一覧に日本の記載はありませんでした)。住まいの管理規約や自治体に、事前に確認することが望ましいです。
かかりやすい病気
アメリカン・スタッフォードシャー・テリアがかかりやすいとされている病気には、以下のようなものがあります。すべての個体がかかるわけではありません。気になる症状があれば、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
- 股関節形成不全・肘関節形成不全:関節が正しく発達せず、痛みや関節炎につながる遺伝的な要素のある病気です。PetMDによると、股関節は多くが1〜2歳ごろにX線検査で診断されます。肘の場合は、前足を引きずる、運動後に悪化するなどの様子が見られます。VCAも股関節の病気を挙げ、体重管理と適度な運動が重要としています。
- 皮膚アレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー):かゆみ、舐める、掻くなどの様子が見られ、皮膚の炎症(ホットスポット)につながることがあります(PetMD)。VCAは、この犬種に多く、長期の管理が必要になることがあるとしています。Wikipediaもアレルギー性皮膚疾患を挙げています。
- 進行性網膜萎縮(PRA):網膜が徐々に傷み、視力が失われる遺伝性の病気です。成犬期に見られることが多く、夜に見えにくそうにするのが最初の様子とされます(PetMD)。痛みはなく、家具の配置を変えないことで暮らしやすくなる、とPetMDは述べています。VCAも挙げています。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが不足し、体重の増加、元気の低下、被毛が薄くなるなどの様子が見られます。PetMDは、おもに4〜10歳に見られ、薬で管理できるとしています(PetMDのみの記載)。
- 小脳性運動失調:遺伝性の神経の病気で、3〜6歳ごろに、ぎこちない歩き方、バランスの崩れ、頭の震えなどが見られます(PetMDのみの記載)。気づいたら早めに受診してください。
このほか、まつげの異常(睫毛乱生)が目を刺激する病気(PetMD)、膝の前十字靭帯の病気、肥満細胞腫、白内障(いずれもVCAが挙げるのみ)が一部の解説で紹介されています。目をしょぼつかせる、涙が多い、皮膚にしこりがある、足を引きずるなどの様子があれば、早めに獣医師へ相談してください。
平均寿命
PetMDとVCAでは12〜16年とされており、12〜16年程度がひとつの目安です。ただし、PetMDは、多くは12〜14年で、定期的な診察により16年近くになる場合もあると述べています。Wikipediaは、英国の2024年の調査で12.5年と紹介しています。個体差があり、飼育環境や健康管理によっても変わります。
まとめ
アメリカン・スタッフォードシャー・テリアは、人と過ごすことを好み、忠実で愛情深い、筋肉質の中型犬です。毎日の十分な運動、力の強さを踏まえた早期の社会化としつけ、他の犬や小動物との距離のとり方、関節・皮膚・目の病気への備えが必要になります。性格や世話の負担、費用を踏まえ、家族全員で迎える準備ができているか確認してから検討することが望ましいです。気になる症状があれば、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
参考情報源
- ジャパンケネルクラブ「アメリカン・スタッフォードシャー・テリア」(犬種標準)
- PetMD「American Staffordshire Terrier」
- VCA Animal Hospitals「American Staffordshire Terrier」
- Wikipedia「American Staffordshire Terrier」
- 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」
- 環境省「動物の愛護及び管理に関する法律」
アメリカン・スタッフォードシャー・テリアと暮らす人へ
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