スコティッシュ・テリアは、スコットランド原産の小型テリアです。「スコッティ」の愛称で親しまれ、短い脚とがっしりした体、長めの頭部とひげのような顔まわりの毛が特徴といわれています。この記事では、成り立ち、性格、日本の暮らしで気をつけたい点、迎える前に確認したいこと、かかりやすい病気までを、犬種クラブや獣医師向けメディア、大学の資料をもとに整理します。
| 原産国 | イギリス(スコットランド) |
| 体高 | 25〜28cm程度(JKC犬種標準は25.4〜28cm) |
| 体重 | 8〜10.5kg程度(情報源により異なる) |
| 性格の傾向 | 忠実で独立心が強く、勇敢といわれる |
| 平均寿命 | 11〜13年程度(情報源により異なる) |
スコティッシュ・テリアの成り立ち
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準によると、スコティッシュ・テリアは、もとはハイランド地方のアバディーン市付近で飼われ、「アバディーン・テリア」と呼ばれていました。19世紀末には西海岸のスカイ島周辺で土着の犬として「スコティッシュ・テリア」の名で知られるようになり、主にアナグマ(穴熊)やカワウソの猟に使われたと説明されています。地中にもぐるのに適した、脚の短い体型はこの役割の名残です。ケアーン・テリアと同族であったことはほぼ確実とされており、ケアーン・テリアの性格・特徴・飼い方の記事もあわせて参考にしてください。
VCA Animal Hospitalsによると、昔は「スコッチ・テリア」という呼び名がスコットランドのテリア全般に使われ、分類が混乱していました。1881年にスコティッシュ・テリアが独立したグループとして分けられたとされています。アメリカへの最初の記録は1883年とされ、第二次世界大戦後には、アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領の飼い犬「ファラ」の知名度も人気を後押ししたと紹介されています。JKCによれば、1940年代には世界的に流行しました。
スコティッシュ・テリアの性格
JKCの犬種標準では、誠実で忠実、威厳があり、独立心が強く控えめで、勇気があり非常に利口と書かれています。勇敢ですが、攻撃的ではないとされています。一方で、獣医師が確認したPetMDは、家族には忠実で愛情深いものの、かなり自立した性格で、膝に乗るよりも飼い主のそばに寝そべることを好む犬が多いと述べています。
独立心と頑固さ
VCAは、独立心があり頑固な面があるため、食べ物や遊びをごほうびにするしつけが向くとしています。覚えは早い一方で飽きやすく、短い時間で区切って楽しく進めるとよい、とPetMDも述べています。力で抑えるような方法よりも、根気よく一貫した対応が合うと考えられます。
見た目より繊細な一面
VCAは、強そうな見た目に反して、実は繊細な面があると説明しています。叱りつけるような接し方ではなく、落ち着いた態度で接すると安心です。ただし、これは一般的な傾向であり、個体差があります。
追いかけと穴掘りの本能
害獣を捕らえる犬として作られた背景から、獲物を追う気持ちが強いとされています。PetMDは、猫や小さな動物との対面はゆっくり慎重に進めるよう案内しています。VCAは、猫とは暮らせるようになることがある一方、ネズミなどの小動物と同居させるのは勧められないとしています。穴を掘るのが好きな犬も多く、退屈すると物を壊したり穴を掘ったりしやすいとされます。においを追いかけて、呼んでも戻らないことがあるため、屋外ではリードが必要です(VCA)。
家族以外や他の犬との関係
知らない人に対しては、かなり友好的とするVCAに対し、Wikipediaでは控えめで、特定の1〜2人と強く結びつくことが多いと紹介されています。他の犬に対しては、VCAが「気が強く、けんか腰になることがある」と述べています。社会化は子犬の頃から進めることが大切です。子どもとの相性については、VCAが「子どもと相性が良い」とする一方、Wikipediaは小さな子どもや犬に慣れていない子どものいる家庭には勧められないとしており(一部の解説での記載)、情報源により異なります。PetMDは、子どもとの触れ合いは常に大人が見守るよう述べています。
なお、性格には個体差があり、ここで紹介した内容は犬種としての一般的な傾向です。迎える前に、ブリーダーや動物病院で、親犬や個体の様子を確認しておくと安心です。
身体的特徴
- 体高:JKCの犬種標準では25.4〜28cm。PetMDとVCAは約10インチ(約25cm)、Wikipediaは約25cm(別の資料では25〜28cm)と記載しています
- 体重:JKCでは8.6〜10.4kg。PetMDとVCAは18〜22ポンド(約8.2〜10kg)、Wikipediaはオス8.5〜10kg・メス8〜9.5kgとしています
- 被毛:硬くごわついた外側の毛と、柔らかく密な下毛の二重構造(Wikipedia)。VCAは「硬くまっすぐな毛」と説明しています
- 毛色:JKCではブラック、ウィートン、ブリンドルのいずれも認められます。PetMDはシルバーやレッドも挙げています
- 体型:がっしりとして脚が短く、頭部は体に比べて長い印象を与えます(JKC)
眉毛やひげ、脚や下腹部の長い毛(スカートと呼ばれます)が、この犬種らしいシルエットをつくります。抜け毛は平均より少ないとされています(VCA)。
飼い方のポイント
運動
PetMDは、定期的な運動と頭を使う遊びが必要で、ただし絶え間なく動かす必要はないとしています。VCAは、長めの散歩または短いランニングと、活発な遊びが目安と述べています。においを探索する時間を設けると満足しやすいと考えられます。
被毛のケア
ブラッシングの目安は、VCAでは週1〜2回、PetMDでは家庭で数日おきです。Wikipediaは、脚やひげの長い毛は毎日ブラッシングするとからまりにくいと述べています。さらに、2〜3か月に一度は、シャンプーとハンドストリッピング(死んだ毛を抜く手入れ)、またはクリッピングが目安とされています(PetMD、VCA)。プロによるカットを利用すると手入れが楽になるとVCAは述べています。目や耳も定期的に確認しましょう(PetMD)。
食事と体重
VCAによると、スコティッシュ・テリアは適正体重からやや太りぎみになりやすい傾向があります。体重が増えてきたら、カロリーを見直すことが案内されています。具体的な量は獣医師に相談してください。
日本の住環境で気をつけたいこと
集合住宅での暮らし
小型犬で、PetMDは、屋外で運動する習慣が確保できればマンションなどでも暮らせるとしつつ、柵のある庭がある家のほうが合うと述べています。日本の集合住宅では、管理規約で飼育できる犬の種類や頭数が決められていることがあるため、契約前の確認が必要です。退屈すると穴掘りや物を壊す行動が出やすいため、室内でのかじり遊びや知育玩具で、頭を使う時間を作ると安心です。
夏の暑さと湿気
暑さや寒さへの強さについては、今回確認した資料に具体的な記述はありませんでした。一般に、二重被毛の犬は熱がこもりやすいと考えられるため、日本の梅雨から夏は、エアコンによる室温と湿度の管理、散歩を朝や夜の涼しい時間にずらすことが無難です(編集部の考察)。
散歩コースの選び方
パデュー大学獣医学部の資料では、スコティッシュ・テリアを対象にした研究で、除草剤や殺虫剤が散布された芝生や庭にさらされた犬は、膀胱の移行上皮癌になる危険が高かったと報告されています。同資料は、処理された芝生や古いタイプのノミ駆除剤を避け、受動喫煙を減らすことを勧めています。日本でも、公園や河川敷などで散布を知らせる掲示があれば、立ち入りを避けるのが無難と考えられます(編集部の考察)。
トリミングサロンの確保と留守番
ハンドストリッピングやクリッピングの対応はサロンによって異なることがあるため、迎える前に、近隣で通える店があるか確認しておくと安心です。また、PetMDは分離不安に触れ、犬種クラブ(STCA)は一度に4時間以上ひとりにしないよう勧めていると紹介しています(一部の解説での記載)。仕事で長時間家を空ける家庭は、家族での分担や外部サービスの利用も含めて検討してください。
迎える前に確認したいこと
- 留守番の時間:ひとりで過ごす時間が長くなりすぎないか
- 被毛の手入れ:自宅でのブラッシングと、2〜3か月ごとのトリミングを続けられるか
- 他の動物との暮らし:猫や小動物がいる場合、慎重な対面と環境づくりができるか
- 親犬の検査:PetMDは、フォン・ヴィレブランド病について、ブリーダーが親犬の検査結果を示せるか確認するよう述べています
- 医療費の見通し:膀胱の腫瘍は早期発見が重要とされ、定期的な診察が必要になることがあります。ペット保険を含め備えを考えておくと安心です
- 散歩環境:除草剤などが使われていない、安全な散歩コースがあるか
- 家族の合意:しつけの方針や世話の分担を、家族全員で話し合えているか
- 法律上の手続き:91日齢以上の犬は、飼い始めてから30日以内に市町村へ登録し、毎年1回の狂犬病予防注射を受けさせる必要があります(厚生労働省)
- 終生飼養:動物愛護管理法では、終生飼養が明文化されています(環境省)
日本での飼育頭数や入手のしやすさ、価格については、今回の調査では確認できませんでした。
かかりやすい病気
スコティッシュ・テリアがかかりやすいとされている病気には、以下のようなものがあります。すべての個体がかかるわけではありません。気になる症状があれば、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
- 膀胱の移行上皮癌:膀胱にできる悪性腫瘍で、この犬種は他の犬に比べて発生の危険が高いとされています。パデュー大学の資料では18〜20倍、Wikipediaでも約20倍と紹介されています。血尿、排尿時に力む、頻繁にトイレへ行こうとする、粗相などがサインになることがありますが、膀胱炎でも同じ症状が出るため、診断には獣医師の検査が必要です。同大学の研究では、症状が出る前の早期の腫瘍を超音波検査などで見つけられた例が紹介されています。
- スコッティ・クランプ:運動、興奮、ストレスがきっかけで、背中が丸まる、歩き方がぎこちなくなる、筋肉がこわばるなどの発作のような様子が出る、遺伝性の筋肉のコントロールの病気です。PetMDは、痛みはなく生活の質には影響しないとしています。遺伝子検査は確立されていないとWikipediaは述べています。
- フォン・ヴィレブランド病:血液を固める働きに関わる遺伝性の病気で、出血が止まりにくい、あざができやすいなどの様子が見られることがあります。PetMDとWikipediaが挙げています。Wikipediaによると、遺伝子検査によって、発症する犬は大きく減ったと紹介されています。
- 頭蓋下顎骨症:あごの骨が過剰に成長し、食べたり飲んだりしにくくなることがある病気です。多くは生後3〜6か月ごろに見られ、遺伝性とされています(Wikipediaのみの記載)。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの不足により、体重の増加、元気の低下、被毛のぱさつき、皮膚や耳の炎症を繰り返すなどの様子が見られることがあります(PetMDのみの記載)。血液検査で調べられます。
このほか、肝臓をバイパスする異常な血管がある「肝シャント」や、運動の協調に関わる「小脳アビオトロフィー」がPetMDで挙げられています(一部の解説での記載)。また、高齢になると白内障や緑内障が見られることがあるとWikipediaは述べています。成長が遅い、ふらつく、意識がぼんやりするなどの様子があれば、早めに獣医師へ相談してください。
平均寿命
VCAでは11〜13年、PetMDでは平均で約12年とされており、11〜13年程度がひとつの目安です。Wikipediaは、英国の2024年の調査で12.7年と紹介しています。個体差があり、飼育環境や健康管理によっても変わります。
まとめ
スコティッシュ・テリアは、忠実で独立心が強く、繊細な一面もある小型のテリアです。しつけには根気が必要で、定期的なトリミングや、膀胱の病気への備え、留守番の時間への配慮が必要になります。性格や世話の負担、費用を踏まえ、家族全員で迎える準備ができているか確認してから検討することが望ましいです。気になる症状があれば、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
参考情報源
- ジャパンケネルクラブ「スコティッシュ・テリア」(犬種標準)
- PetMD「Scottish Terrier」
- VCA Animal Hospitals「Scottish Terrier」
- パデュー大学獣医学部「Urinary Bladder Cancer Research」
- Wikipedia「Scottish Terrier」
- 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」
- 環境省「動物の愛護及び管理に関する法律」
スコティッシュ・テリアと暮らす人へ
本記事は、JKC(ジャパンケネルクラブ)等の公的資料や獣医療・ペット関連の専門メディアの情報をもとに、編集部で内容を確認のうえ作成しています。編集方針の詳細は運営者情報をご覧ください。



