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犬の水の量はフードで変わる?ドライ・ウェットの水分量と飲水量の目安|飲まないときの工夫・受診の目安

「水入れの水が、あまり減らない。うちの子、水を飲まなすぎでは?」と心配になっていませんか。反対に、暑くもないのに水ばかり飲んでいる気がして不安、という方もいるかもしれません。この記事では、獣医師が監修・執筆した記事(アニコム損保、PETOKOTO)、アメリカの動物病院グループ(VCA)、獣医師が執筆したPetMD、ペットフード公正取引協議会の表示ルールの5つの出典をもとに、フードと飲水量の関係をまとめました。結論から言うと、1日の飲水量の目安は出典によって「体重1kgあたり40〜60mL」(アニコム損保)、「50〜60mL」(PETOKOTO)と幅があり、しかも食事に含まれる水分によって、水入れから飲む量は変わります。ドライフードが中心なら水入れから十分に飲む必要があり、ウェットフードが中心なら食事から多くの水分をとれるため、飲水量が少なくても問題になりにくい、と説明されています。水入れの減りだけで多い・少ないを決めず、食事の水分も含めて、「いつもの量」との違いを見るのがポイントです。ただし、極端に飲まない、急に飲む量が増えた、おしっこの量が増えたといった様子は、フードの工夫より先に受診の目安です。冬の飲水量やおしっこの回数は別の記事で紹介しているため、ここでは「フードの水分と飲水量の関係」に絞りました。まず、下の「先に確認」から読んでみてください。

先に確認:フードの工夫より、動物病院に相談したい様子

次のような様子があるときは、フードや水の工夫で様子を見る前に、動物病院に相談してください。飲水量の増減は、病気のサインのことがあるためです。

  • 水をほとんど飲まない、飲水量が極端に減った:アニコム損保は、水分摂取量が極端に減ると脱水症状を起こしたり体調がさらに悪化したりする可能性があるとして、飲水量が少ない様子が見られるときは動物病院で相談するよう案内しています。PETOKOTO(佐藤貴紀獣医師)も、明らかに水を飲んでいない、ほかに気になる様子がある場合は受診をすすめています
  • 水を飲む量が増えた、おしっこの量や回数が増えた:アニコム損保は、1日に体重1kgあたり90mL以上を飲んでいる場合、念のため病的な多飲の可能性も疑ったほうがよいと言われている、と説明しています。PETOKOTOは100mL以上を病的としています(出典で数字が異なります)。多飲多尿は腎臓病の初期から見られることもあるとされています
  • 食欲がない、吐く、元気がない、体や口を痛がるそぶりがある:アニコム損保は、体調や痛みが原因で水を飲まなくなることがあると説明しています
  • プールや川で遊んだあとに、ふらつく、よだれが多い、吐く:アニコム損保は、短時間に大量の水を飲むと「水中毒」(低ナトリウム血症)になることがあり、重くなると命にかかわることもあると説明しています。早めに動物病院へ連絡します
  • 持病がある、療法食を食べている:水を増やしたほうがよいか、控えたほうがよいかは病気や進み具合で変わります(アニコム損保)。PetMDも、獣医師の指示がない限り、水を取り上げないよう案内しています。判断は主治医に従います

犬の飲水量の目安は出典で違う

まず、今回確認した出典が示している目安を並べました(2026年10月28日確認)。どれも「一般的な目安」で、犬種・年齢・運動量・気温・食事で変わります。

出典書かれている内容
アニコム損保
(岸田絵里子獣医師監修、2026年1月28日更新)
健康な犬が1日に必要とする水分は、一般的に体重1kgあたり40〜60mL。体重5kgなら200〜300mL。1日に体重1kgあたり90mL以上を飲んでいる場合は、念のため病的な多飲の可能性も疑ったほうがよいと言われている
PETOKOTO
(佐藤貴紀獣医師、2026年9月1日更新。運営会社はフードも販売)
体重1kgあたり50〜60mLが目安。3kgなら150〜180mL、5kgなら250〜300mL。より正確には、1日に必要なカロリー量(kcal)の数字をそのままmLに読み替える方法も紹介(250kcalなら250mL)。1日に体重1kgあたり100mL以上は病的としている
PetMD
(Katie Grzyb獣医師執筆・Veronica Higgs獣医師監修、2023年7月28日更新)
体重1ポンドあたり約1オンスが一般的な目安(10ポンドの犬なら約10オンス)。編集部で換算すると、体重1kgあたり約65mLにあたる。子犬・よく動く犬・授乳中・暖かい地域の犬は目安より多く飲みやすく、缶詰(ウェット)を食べている犬は少なめになることがある。多飲の数字の基準は書かれていない
VCA
(アメリカの動物病院グループ、2022年9月26日更新)
飲水量の目安の数字は載せていない。ただし、多飲多尿で受診するときは、24時間に飲む水の量を測って伝えると、獣医師が問題の重さを判断する助けになるとしている

数字がそろわない理由として、次の点が考えられます。

  • 「目安」の幅の取り方が違う:アニコム損保は40〜60mL、PETOKOTOは50〜60mLと、下限が少し違います。PetMDは単位が違い、換算すると約65mLで、アニコム損保・PETOKOTOの幅より少し上になります。一般的な目安を示したもので、どれが正しいと決められるものではありません
  • 「多い」の線引きも違う:アニコム損保は90mL以上、PETOKOTOは100mL以上とし、PetMDとVCAは数字を示していません。数字はあくまで受診を考えるきっかけで、実際には、普段の量との違いや、おしっこの量・元気・食欲の変化とあわせて見ることが大切です(PetMD・アニコム損保)
  • 食事の水分を含むかどうか:アニコム損保は、飲水量は食事に含まれる水分量で変わると説明し、PetMDも缶詰を食べる犬は飲む量が少なくなることがあるとしています。次の章で、フードの水分を見ていきます

体重別に計算すると、次のようになります(アニコム損保の目安をもとにした編集部の計算例。体重5kgの200〜300mLは出典に書かれている例です)。

体重1日の水分の目安(40〜60mL/kg)多飲を疑う目安(90mL/kg以上)
3kg120〜180mL270mL以上
5kg200〜300mL450mL以上
10kg400〜600mL900mL以上
20kg800〜1,200mL1,800mL以上

この目安は「食事からとる水分も含めた量」として読むのが自然です。水入れの水だけで数字に届かなくても、すぐに足りないとは限りません。冬に水を飲まないときの考え方は、「犬が冬に水を飲まない原因と対策」も参考にしてください。

フードの種類で、水入れから飲む量は変わる

アニコム損保は、ドッグフードの水分含有量がタイプによって大きく違うと説明しています。

フードのタイプ水分の目安(アニコム損保)
ドライフード10%程度
ソフトドライフード10〜30%程度
セミモイストフード25〜35%程度
ウェットフード75%程度

PETOKOTOも、ドライフードの水分はおよそ10%以下、冷凍のフレッシュフードやウェットフードは70%程度と説明しています(わずかに数字が違いますが、ドライは約1割、ウェットは約7割台という点はそろっています)。

アニコム損保は、体重5kgの健康な成犬の例で、次のように説明しています。1日に必要な水分は200〜300mLが目安で、食事がドライフード100gなら、食事からの水分は10mL程度。ウェットフード400gなら、食事から300mL程度の水分がとれていることになります。そのため、ドライフードが中心の犬は水入れから十分に飲む必要があり、ウェットフードが中心の犬は、飲水量が少なくても大丈夫という考え方です。愛犬のいつもの食事にどのくらい水分が含まれているか、一度計算してみるとよいとも書かれています。

実際に計算するときは、次の手順が使えます(手順は出典の考え方をもとにした編集部の例です)。

  1. パッケージの給与量の目安や、いつもの量(グラム)を確認する。1日の量は「犬のご飯の量は1日何グラム?」の計算ツールでも確かめられる
  2. フードの水分の目安をかける(ドライなら約10%、ウェットなら約75%)。例:ドライ100gなら約10mL、ウェット200gなら約150mL
  3. ふやかす水、トッピングのスープ、水分の多い野菜やフルーツがあれば、その分もメモする
  4. 体重から1日の水分の目安(40〜60mL/kgなど)を出し、食事の水分との差を「水入れや散歩中に飲む分の目安」として見る。あくまで目安で、ぴったり合わせる必要はない

パッケージの「水分」表示の読み方

ペットフード公正取引協議会の表示の基礎知識によると、成分表示は、たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分について、保証できる値を重量の百分率で書きます。たんぱく質と脂質は「○○%以上」、粗繊維・灰分・水分は「○○%以下」と書く決まりです。つまり、水分の数字は「その数字以下」を保証する上限の表示で、実際の水分はそれより少ないこともあります。上の水分の目安(ドライ約10%など)は、あくまで一般的な数字なので、気になる場合は商品のパッケージの成分表示を見てください。

飲水量の測り方:食事の水分とあわせて記録する

アニコム損保は、水を飲む量とおしっこの量を普段から把握し、異常を早く見つけることが大切だと説明しています。PetMDは、次の測り方を紹介しています。

  • 水入れに、毎日同じ時刻に、同じ高さまで水を入れる
  • より正確に知りたいときは、朝に入れた水の量と、1日の終わりに残っている量を量って、差を見る
  • 目盛り付きの容器もあるが、ひっくり返しやすい家庭では合わないことがある
  • 複数のペットがいる家庭では、マイクロチップで開閉する給水器で、1頭ごとの量を分けられる

編集部からの補足です。測った数字は、次のようにメモしておくと、読み取りやすくなります(記録の項目は編集部の例です)。

  • 水入れの水の量(上の方法で測ったもの)
  • 散歩中や、水入れ以外の場所で飲んだ水
  • ふやかしたフード、ウェットフード、スープ、水分の多いおやつの量
  • その日の気温、運動量、おしっこの回数や量、元気・食欲
  • 数日分そろえて、愛犬の「いつもの量」を知っておく(変化に気づきやすくなります)

受診するときは、メモを見せると、獣医師が状況をつかみやすくなります(VCAも、24時間の飲水量を測るのが助けになるとしています)。

フードを替えたら、飲む量が変わることがある

  • ドライからウェット・フレッシュフードに替えたら、水を飲まなくなった:PETOKOTOは、水分が多いため、水を飲む量が減る可能性があり、水分はとれているので、おしっこが出ていれば問題ないでしょうと説明しています。PetMDも、缶詰を食べている犬は飲む量が少なくなることがあるとしています
  • ウェットを減らしてドライを増やしたら、水をよく飲む:同じ理由で、水入れから飲む量が増えるのは自然な範囲のこともあります。ただし、PETOKOTOは、気温の上昇や乾燥、フード・おやつ、ストレスでも水を多く飲むことがあるとしています。増え方が大きいとき、おしっこの量も増えているときは、受診を検討します
  • フードの切り替えの手順や、便の様子の見方は「ドッグフードの切り替え方」で紹介しています

水を飲まない・飲水量が少ないときの工夫

アニコム損保は、水を飲まない理由として、水分が足りている場合(散歩のときに飲んでいる、ウェットフードや水分の多いおやつをとっているなど)、水の鮮度・温度・容器の問題、気温や置き場所などの環境、過去の経験、病気や老化を挙げています。そのうえで、次のような工夫が紹介されています。

食事・おやつから水分をとる

  • ドライフードを水やぬるま湯でふやかす:アニコム損保・PETOKOTOとも挙げています。ふやかし方の目安と注意は「ドッグフードのふやかし方」で紹介しています
  • ウェットフードを使う:アニコム損保は、ドライ中心なのに水をあまり飲まない犬は、ウェットフードに変えると水分摂取を増やせるとしています。量の考え方は「犬のウェットフードの量はどれくらい?」で紹介しています
  • スープや水分の多い食材:アニコム損保は、脂身の少ない鶏肉や魚、野菜を煮出して脂を取り除いたスープや、水分の多い野菜・フルーツをおやつにする方法を挙げ、おやつの与えすぎには注意するとしています。PETOKOTOは、トッピングやおやつは1日のカロリーの10%以内なら問題ないとしています(量の考え方は「犬のごはんのトッピング」参照)

水まわりを見直す

  • 水を新鮮に保つ:アニコム損保は、長時間置いた水は鮮度が落ちて飲みたがらなくなることがあるため、冬でも1日1〜2回、夏はもっと頻繁に取り換えるよう案内しています
  • 温度・容器・場所を変えてみる:アニコム損保は、水の温度の好み(冷たすぎる、ぬるいなど)、容器の素材(陶器・プラスチック・ステンレスなど)や形、置き場所(静かな所、家族の近くなど)が犬によって違うとしています。暑くなる場所や寒くなる場所は避け、1か所だけでなく数か所に置くと飲水量が増えるというデータもあるそうです
  • 器の高さ:アニコム損保・PETOKOTOとも、台やスタンドで高さを調整する方法を挙げています。老犬や、首・腰・関節に病気がある犬は、負担のかからない高さにするとしています
  • 散歩のときに飲ませる:アニコム損保は、散歩のときによく飲む犬も多いため、水を持参して休憩のときにこまめに飲む時間を作る方法を紹介しています
  • 自動給水器:PETOKOTOは、流れる水を好む犬もいるとして挙げています。出典に、自動給水器で飲水量が増えると示すデータはありませんでした
  • 注意:アニコム損保は、ケージに取り付けるノズル式の給水ボトルは、大きくなると十分な量を飲めなくなるため、すすめられないとしています

工夫を試しても、飲水量が少ないまま、または元気や食欲が落ちているときは、自己判断を続けず動物病院に相談してください。PETOKOTOは、うまくいかない場合は、ドッグトレーナーや行動診療科の獣医師に相談する方法も挙げています。食事そのものを食べない場合は、「犬がご飯を食べない原因と受診の目安」も参考にしてください。

水が足りないと、飲みすぎると:出典に書かれていること

  • 水分が足りない状態が続くと:アニコム損保は、熱中症、尿石症や膀胱炎、腎臓への負担、便秘などのリスクが高まる可能性があると説明しています。PETOKOTOも、水分不足が続くと腎機能が低下し、泌尿器の病気のリスクが上がると説明しています。いずれも「可能性」の説明で、水を飲ませれば防げると約束するものではありません
  • 水を飲みすぎるとき:アニコム損保は、飲水量は個体差が大きく、たくさん飲むから病気とは限らないとしたうえで、1日90mL/kg以上なら、念のため病的な多飲の可能性も疑い、一度飲水量を測って動物病院に相談すると安心としています。多飲多尿の背景には、腎臓病、糖尿病、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、子宮蓄膿症、尿崩症などがあり、ストレスによる多飲が若い犬で見られることもあると説明しています
  • 水の取りすぎで悪化する病気:アニコム損保は、進行した腎臓病、心臓病、肝硬変では、水分のとりすぎで症状が悪化することがあり、水分を積極的にとったほうがよいか制限したほうがよいかは進み具合で変わるため、主治医の指示に従うよう案内しています。自己判断で水を減らしたり、増やしたりしないでください

状況別:出典から言える考え方の整理

いまの様子出典から言える考え方
ドライフード中心で、水入れの水があまり減らない散歩中に飲んでいる、水分の多い食事やおやつをとっているなど、水分が足りている場合もある(アニコム損保)。まず1日の量を測り、おしっこの様子・元気・食欲とあわせて確認。極端に少ないときは相談
ウェットフード中心で、あまり水を飲まない食事からかなりの水分をとれるため、飲水量が少なくても大丈夫とされる(アニコム損保)。おしっこが出ているかを確認(PETOKOTO)
ドライからウェットに替えたら飲まなくなった水分が多いフードでは、飲む量が減る可能性がある。おしっこが出ていれば問題ないでしょうと説明されている(PETOKOTO)
暑い日・運動のあとでもないのに、飲む量が増えた気温・乾燥・フード・おやつ・ストレスでも増えるが、1日90〜100mL/kg以上は病的な多飲の可能性も疑う(アニコム損保・PETOKOTO)。飲水量を測って相談
シニア犬が飲まなくなった加齢で活動量が落ちると飲水量が減りやすい(アニコム損保)。首・腰・関節の痛みで姿勢がつらいこともあるため、器の高さを見直し、気になれば受診
水を飲もうとしない・食欲もない・元気がない体調や痛みが原因のことがある(アニコム損保)。フードの工夫より先に受診

まとめ

犬の飲水量は、水入れの減りだけでは決められません。目安は出典で「体重1kgあたり40〜60mL」(アニコム損保)、「50〜60mL」(PETOKOTO)と幅があり、ドライフードの水分は約1割、ウェットフードは約7〜7.5割と大きく違うため、同じ体重でも、食事によって水入れから飲む量は変わります。今回確認した出典に共通していたのは、まず愛犬の「いつもの量」を知っておき、そこからの変化に気づくことでした。水をほとんど飲まない、急に飲む量が増えた、おしっこの量が増えた、元気や食欲がないといった様子があれば、フードや水の工夫より先に動物病院へ。気になる症状があるときは自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談してください。ドライフードにお湯を足す方法は「ドッグフードのふやかし方」、フード全体の選び方の基本は「ドッグフードの選び方」もご覧ください。


参考情報源(2026年10月28日確認)