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犬がご飯を食べない原因と受診の目安|いつまで様子見?家庭でできる工夫も解説

いつもは喜んで食べるごはんを、今日は匂いだけ嗅いで離れていく。そんな姿を見ると、「どこか具合が悪いのでは」「このまま様子を見ていていいのか」と心配になりますよね。まず結論からお伝えします。子犬・シニア犬・持病のある犬、水も飲まない、元気がない、嘔吐や下痢がある場合は、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。元気があり、水も飲めていて、ほかの症状がない成犬の場合に限り、獣医師監修の資料では「1食程度」から「1〜2日」までを目安に経過を見る、という書き方がされています。ただし、これは安全を保証する数字ではありません。

この記事では、「食べない」ときの受診の目安、原因の見分け方、家庭でできる工夫を、確認できた数字を出典つきで整理しました。一方で、「何時間食べなければ必ず受診」という単一の基準や、「何日で食欲が戻る」という数字は、今回確認した獣医師監修の資料には見当たりませんでしたので載せていません(原因や年齢、体の状態で大きく変わるためと考えられます)。具体的なフード名・商品名は出さず、食事環境の見直しとかかりつけ獣医師への相談を中心にまとめています。

まず確認:すぐ動物病院に連絡したいサイン

次のどれかに当てはまる場合は、「そのうち食べるだろう」と待たずに、動物病院へ電話で相談してください。夜間・休日は、あらかじめ調べておいた夜間・救急対応の動物病院に連絡する方法もあります。

  • 子犬:子犬は食欲が少し下がるだけで急に体力を失い、低血糖を起こすことがあるとされています。ペット&ファミリー損保の獣医師監修記事(犬猫の食欲不振を扱う記事)には、子犬・子猫は1食抜けただけでも低血糖による発作を起こすことがあるため、食べないときはすぐに病院へ、と書かれています。元気がない・震える・ぐったりしている場合は、ただちに連絡してください(子犬を迎えた最初の1週間も参考にしてください)
  • 水も飲まない:アイペット損保の獣医師監修記事では、水も飲まない場合は早めの対処が必要とされています
  • 元気がない、ぐったりしている、震える、息が苦しそう:獣医師監修の複数の記事で、様子見をせず受診を勧める症状として挙げられています
  • 嘔吐や下痢を伴う:食欲不振と嘔吐・下痢が重なるときは、病気の可能性が高まるとされています(犬の下痢・嘔吐の原因と受診の目安も参考にしてください)
  • 体重が減ってきた、黄疸(白目や歯ぐき、皮膚が黄色っぽい)がある、動くのを嫌がる、触られるのを嫌がる、排尿・排便の異常、血尿・血便がある
  • 人の食べ物・薬・洗剤・小さな部品などを口にした可能性がある(犬が誤食したときの対処と受診の目安を確認してください)
  • シニア犬、持病のある犬、病み上がりで体力が落ちている犬:成犬でも、これらに当てはまる場合は早めの受診が勧められています
  • 食べたそうにするのに口を気にして食べない、よだれが多い:口内炎・歯周病・口の中の腫瘍など、口の痛みが原因で食べられないこともあるとされています(犬の歯周病・口臭ケアも参考にしてください)

何日まで様子を見てよい?獣医師監修の資料にある数字

「何日食べなかったら病院へ行くべきか」は、多くの飼い主が知りたい点です。確認できた獣医師監修の資料では、元気があり、水を飲めていて、ほかの症状がない成犬の場合の目安が次のように書かれていました。資料によって幅があります。

  • ペット&ファミリー損保(獣医師・ペット栄養管理士の岩切裕布氏監修):食べない以外に症状がなければ、「1食程度」までは経過を見るのも一つの方法。普段と違う行動や症状が出ているときは、すぐに受診
  • アイペット損保(獣医師の鷺島祥子氏監修):「丸1日〜2日何も口にしない場合」は注意が必要。水も飲まない場合は早めに対処
  • PETOKOTO(獣医師の佐藤貴紀氏執筆):丸1日は様子を見ても大丈夫とされるが、2日目に入ると病気の可能性が高まる。「いつもと様子が違う」「まったく食べない」「水も飲まない」「元気がない」「震える」といった場合は、様子見をせず動物病院へ
  • ますだ動物クリニックの増田国充院長監修の記事(PECO掲載、2021年更新):通常の食欲不振では、1〜1.5日程度は新鮮な食事を与え続けて様子を見る。ただし、病気の場合や子犬・高齢犬は例外

つまり、「1食程度」から「1〜2日」まで幅があり、元気・水を飲めているか・ほかの症状がないかが分かれ目になります。迷うときは、「何日待つか」を自分で決めるより、かかりつけの動物病院に電話で相談するほうが安心です。電話だけでも、受診が必要かどうかの目安を教えてもらえることがあります。

参考までに、株式会社ゆずずの「コノコトトモニ」が2024年12月に成人男女200名に行ったインターネット調査では、愛犬がごはんを食べないことがある飼い主は「7割近く」でした。食べなかったことがある犬を病院に連れて行った人は約18%にとどまり、食べなくなってから受診するまでの日数でもっとも多かった回答は「2日」でした。また、自分でできる対処で食欲不振が改善したと答えた人も9割以上でした。ただし、これは飼い主の自己申告による小規模な調査です。「受診しなくても大丈夫だった人が多い」と読み取るためのものではなく、あとから病気が見つかったケースがあったかどうかも、この調査からは分かりません。

食べない原因:「食欲がない」のか「食べる気はあるのに食べない」のか

原因を考えるときは、まず食欲そのものが落ちているのか、食欲はあるのに食べないのかを分けて見ると整理しやすくなります(PETOKOTOの獣医師解説による分け方です)。あわせて、アイペット損保・ペット&ファミリー損保の資料に挙げられている原因をまとめると、次のとおりです。

食欲が落ちている場合に考えられること

  • 病気や体調不良:感染症、寄生虫、胃腸炎、膵炎、腎不全、肝不全、腫瘍、子宮蓄膿症、誤飲・中毒など内臓の病気のほか、口内炎・歯周病・口腔内腫瘍のように口の痛みで食べられなくなることもあるとされています。膵炎では、おやつや缶詰にも口をつけないほど強い食欲不振が急に起こることがある、という解説もあります(アニコム損保)
  • 低血糖:初期症状として元気がなくなる・食欲が低下するなどの変化が出るとされ、チワワやトイ・プードルなどの超小型犬・小型犬や子犬で特に注意が必要とされています(アニコム損保「犬との暮らし大百科」)
  • 加齢:代謝の低下、噛む力の低下、嗅覚・味覚・消化能力の衰えなどで食べる量が減ることがあります。一方で「年のせい」と決めつけると病気を見落とす可能性があるため、体重減少などがあれば受診が勧められています(老犬の介護も参考にしてください)
  • ヒート(発情期):避妊手術を受けていない女の子では、発情に伴って食欲が落ちることがあるとされています

食欲はあるのに食べない場合に考えられること

  • ストレス・環境の変化:引っ越し、家族構成の変化、騒音などで食べなくなることがあります(引っ越し・環境の変化によるストレス、留守番中の不安・分離不安、花火・雷への怖がりも参考にしてください)
  • ごはんを変えた、フードの状態:新しいフードへの警戒心が原因のことがあります。フードは冷暗所で保管し、開封後は1か月以内に使い切るのが目安とされています(ペット&ファミリー損保)。食物アレルギーの可能性が資料で触れられていることもあります
  • 食事量・おやつの量が多い、運動量が少ない:1日に必要な量をすでに足りていて食べないだけ、ということもあります(犬の肥満・体重管理や、ごはんの目安カロリー計算ツールも参考にしてください)。ただし、これも体重や体調を見て判断することが大切です
  • 偏食・「もっとおいしいものが出てくる」という学習:トッピングやおやつを与えすぎると、それが出てくるまで食べずに待つことがある、と複数の資料に書かれています
  • 食事に集中できない環境:落ち着かない場所、食器の高さが合わない、などが原因になることもあります

受診のサインがないとき、家庭でできる工夫

ここからは、上の「すぐ連絡したいサイン」に当てはまらず、元気があって水も飲めている成犬の場合の工夫です。子犬・シニア犬・持病のある犬は、工夫を試す前に獣医師に相談してください。また、次の工夫を試しても食べない状態が続く場合は、時間をおかずに受診してください。

1. 香りと食感を整える

アイペット損保の獣医師監修記事には、ドライフードをふやかして柔らかくする、少し温めて匂いを立たせると食べることがある、と書かれています。子犬のフードについて解説したアニコム損保の記事(今成瑞希獣医師監修)でも、お湯でふやすと香りが立って食べやすくなるとされ、やけどしない程度に冷ましてから与えるよう注意しています。

2. 回数・量・食器・環境を見直す

  • 1回の量を減らして回数を増やす(アイペット損保)
  • 首を下げなくて済むよう、少し高さのある食器台を使う(アイペット損保)。食べやすい高さに調整する(PETOKOTO)
  • 静かで落ち着ける場所で食べさせる(PETOKOTO)
  • 給与量を確認し、体重に合った量になっているか見直す(ペット&ファミリー損保)

3. 「時間を決めて片付ける」方法を使う場合の注意

アイペット損保の記事には、甘えやわがままで食べないと考えられる場合の方法として、食べなくても時間を決めて片付け、おやつも一切あげずに、次の食事の時間に同じものを与える、という対応が紹介されています。PETOKOTOのシニア犬向け記事でも、食べなければ15〜30分ほどで下げる習慣をつける、という書き方がされています。ただし、これは病気ではないと判断できている健康な成犬での話です。子犬、シニア犬、持病のある犬、元気がないときは、食べない時間が長引くリスクがあるため、自己判断で行わないでください。

4. おやつ・トッピング・フードの変更は「見解が分かれる」点

食べないときにトッピングやフードの変更を行うかどうかは、資料によって書き方が異なります。

  • 慎重な見方:トッピングをしたりフードを替えたりすると、「食べなければもっとおいしいものが出てくる」と学習してしまう可能性がある(アイペット損保)。トッピングやおやつを与えすぎると、それが出てくるまで食べずに待つこともある(ペット&ファミリー損保)
  • 工夫として挙げる見方:ドライフードにウェットフードを混ぜる、トッピングをのせる、ウェットフードに替える、といった方法を紹介している獣医師の記事もある(PETOKOTO、増田院長監修のPECO記事)

どちらが正しいかは、犬の年齢・体調・食べない理由によって変わります。病気が隠れている可能性がある間は、食事内容をあれこれ変えるより、まず原因をはっきりさせることが優先されます。トッピングやフードの変更を試す場合も、かかりつけ獣医師に相談しながら、少量から、一時的なものとして行うのが無難です。なお、フードを切り替えるときは、今のフードに新しいものを少しずつ混ぜ、1割、2割と増やしながら2週間くらいかけて切り替えるのが理想とされています(アイペット損保)。

5. 手から与える習慣をつけすぎない

食べないからといって手から食べさせていると、それが習慣になり、大人になっても手からしか食べなくなることがあるとされています(アニコム損保「犬との暮らし大百科」)。ただし、体調不良で食べられない犬に対しては、様子を見ながらの介助が必要なこともあるため、迷う場合は獣医師に相談してください。

6. 無理やり食べさせない

内臓の病気が原因で食べられない場合、無理やり食べさせると症状を悪化させてしまうことがあるとされています(アイペット損保)。シリンジなどで強制的に食べさせる前に、必ず獣医師の指示を受けてください。

食事環境を整えるグッズを選ぶときのポイント

グッズは「食べない原因が病気ではないと確認できたあと」に、食事環境を整える補助として考えるのが基本です。商品の宣伝文句に頼らず、次の観点で選ぶと失敗しにくくなります。

  • 食器台・フードボウル:犬の体格と食べるときの姿勢に合う高さか。口の大きさに合う深さ・形か。滑りにくく、洗いやすい素材か
  • フードの保存容器:開封後は空気と湿気、光を避けて保存しやすいか(密閉できる容器、冷暗所での保管。ペット&ファミリー損保の「開封後1か月以内に使い切る」目安に合わせて、小さめの容量のフードを選ぶ方法もあります)
  • ウェットフードやふやかしやすい形状のフード:柔らかい食感が食べやすい場合があります。種類ごとの違いはウェットフード・ドライフードの違いと選び方やドッグフードの選び方(年齢別・体質別の基本)で整理しています
  • 知育トイ・フードを少しずつ出せる食器:食べ方や遊びで食事への興味を引くという使い方があります(PETOKOTOの記事で工夫の一つとして触れられています)。ただし、犬によっては遊びに夢中になって食事から気がそれる場合もあります

なお、「食欲が戻る」「食欲を高める」とうたう健康食品やサプリメントは、効果が確かめられているとは限りません。この記事では紹介していません。病気が原因で食事の管理が必要と言われた場合は、療法食と普通のフードの違いも参考にしつつ、獣医師の指示に従ってください。

動物病院に電話・受診するときに伝えること

アニコム損保の解説では、症状にかかわらず診療の参考になる共通項目として「食欲はあるか」が挙げられています。「食べない」ことを伝えるときは、次のような情報があるとスムーズです。

  • いつから、どの程度食べていないか(最後にしっかり食べた時間、1食の量)
  • 水は飲めているか、おしっこ・うんちの回数や状態
  • 嘔吐・下痢・元気のなさ・震えなどがないか(あれば動画や写真)
  • 最近の変化(フードやおやつの変更、環境の変化、お留守番の増加、薬の使用)
  • 口に入れた可能性のあるもの(人の食べ物、薬、洗剤、小さな部品など)
  • 年齢、持病、避妊・去勢の有無(ヒートの時期かどうかを含む)

注意点

  • 子犬とシニア犬は特に慎重に:子犬は脱水と低血糖のリスク、シニア犬は「いつものことだから」と病気を見落とすリスクがあると獣医師の記事で指摘されています
  • 「わがまま」と決めつけない:食欲の低下が続く場合や体重が減っている場合は、行動の問題ではなく病気のサインのことがあります
  • 自己判断で薬や人用の食品を与えない:人の薬、サプリメント、味付けされた食品は、犬には合わないことがあります
  • 気になる症状があれば、獣医師に相談を:この記事は一般的な情報であり、診断や治療に代わるものではありません。食欲不振が続く、元気がない、嘔吐・下痢がある、体重が減っているなど、気になる様子があれば、かかりつけの動物病院に相談してください

まとめ

犬がごはんを食べないとき、まず見るのは「食べない時間」より「元気があるか」「水を飲めているか」「ほかの症状がないか」です。子犬・シニア犬・持病のある犬、水も飲まない、元気がない、嘔吐や下痢があるときは、すぐに動物病院へ連絡してください。元気な成犬で、ほかの症状がない場合は、獣医師監修の資料で「1食程度」〜「1〜2日」が経過観察の目安として挙げられていますが、迷うときは電話で相談するのが安心です。受診のサインがなければ、フードを温める・ふやかす、食事の量や回数、食器の高さ、静かな環境などを見直し、無理に食べさせないことを心がけてください。

参考情報源