ニュースやSNSで「ペットフードの自主回収」という言葉を見かけて、うちの子のフードは大丈夫だろうか、と不安になったことはありませんか。どこで調べればよいのか、袋のどこを見ればよいのかは、意外と知られていません。この記事では、環境省・農林水産省・消費者庁・農林水産消費安全技術センター(FAMIC)・ペットフード協会の公的・業界団体の情報と、米国FDA(食品医薬品局)の飼い主向けページをもとに、回収情報の調べ方と、与えてしまったときの動き方をまとめました。結論から言うと、編集部が確認した範囲では、日本にペットフードの回収情報を飼い主向けに一か所へ網羅していると案内している公的ページは見つかりませんでした。そのため、「①袋の表示(商品名・賞味期限・事業者名)を控える → ②メーカーの案内と消費者庁のリコール情報サイトで確認する → ③愛犬の体調が悪ければ、まずかかりつけの獣医師へ」の順で動きます。ここで紹介する情報は、特定の商品が安全か危険かを判断するものではありません。まず、下の「先に確認」から読んでみてください。
先に確認:愛犬の様子がおかしいときは、調べる前に動物病院へ
回収情報を調べるより先に、愛犬の体調を優先します。次のようなときは、フードの確認と並行して、かかりつけの動物病院へ連絡してください。
- 吐く、下痢をする、元気がない、食欲が落ちている:環境省のQ&Aは、フードを与えたあとにペットの体調が悪くなった(嘔吐、下痢、吐血など)ときは、まずかかりつけの獣医師の治療を受けるよう案内しています
- 目・歯ぐき・皮膚が黄色っぽい、原因の分からないあざや出血がある:米国FDAは、カビ毒の一種(アフラトキシン)による中毒の例として、元気がない・食欲の低下・嘔吐・下痢のほか、黄疸(目・歯ぐき・皮膚が黄色くなる)や、原因不明のあざ・出血を挙げています。疑うときはすぐ獣医師を受診するよう案内されています
- 同じフードを食べている犬や猫が複数いて、症状が出た子がいる:受診時に、症状が出た子と出ていない子の人数も伝えると、状況が伝わりやすくなります
受診するときは、残っているフードと、パッケージ(または表示を撮った写真)を持っていきます。詳しくは、後半の「体調が悪いときの動き方」で説明します。
日本の回収情報は、どこで確認する?
ペットフード安全法は、犬と猫のフードを対象に2009年6月1日に施行された法律で、国は、ペットの健康被害を防ぐ必要があると認めたときに、事業者へ廃棄や回収を命じることができます(環境省)。一方で、回収の知らせを飼い主が見つける場所は、1つにまとまっていません。確認先は、次の表のとおりです(2026年10月30日確認)。
| 確認先 | 分かること・注意点 |
|---|---|
| メーカー・販売元の公式サイトやお客様窓口 | 対象の商品名、対象の賞味期限などの条件、返金・交換の方法が載ります。消費者庁のリコール情報サイトも、リコール品の取り扱いは事業者のサイトや電話で最新情報を確認するよう案内しています。環境省のQ&Aも、同じ製品で同様の健康被害が出ていないかは、メーカーに問い合わせるよう示しています |
| 消費者庁「リコール情報サイト」 | 行政機関や事業者が公表した回収・無償修理等の情報を、共通の形式で載せているサイトです。キーワード検索ができます。編集部が「ペットフード」で検索したところ、13件が表示され、いちばん新しい掲載は2025年5月30日でした。おやつや猫用も含まれ、ドッグフードの回収がすべて載っているとは限りません |
| 国の報道発表(環境省・農林水産省) | 環境省のQ&Aは、回収する可能性があると判断された場合は報道発表を行うとしています。ニュースで見かけたときは、その発表やメーカーの案内で、対象の条件を確認します |
| FAMIC「ペットフードの自主回収・注意喚起」(事業者向けページ) | 「事業者のみなさまへの注意喚起」として、海外の回収情報や健康被害の情報が日付と件名で並びます。2026年度(4月以降)の掲載は5件で、いずれも「米国・情報提供」と付記されています。日本で売られているフードが対象かどうかは、このページだけでは分かりません。輸入品を使っているときは、輸入元に確認します |
| 各地方環境事務所 | 農林水産省のページは、飼い主からのペットフード安全法に関する問い合わせ窓口を、環境省の各地方環境事務所と案内しています。回収の受付窓口とは案内されていません |
このように、飼い主が日常的にチェックしやすいのは、メーカーの案内と消費者庁のリコール情報サイトです。ただし、リコール情報サイトは掲載数が限られるため、掲載されていないことが、問題がないことの証明にはなりません。気になるときは、袋に書かれた事業者に直接問い合わせる方法が、確実な手がかりになります。
袋のどこを見る?控えておきたい情報
ペットフード協会によると、ペットフード安全法では、パッケージに次の5項目を日本語で表示することが決められています。名称(犬用か猫用かを含む)、賞味期限(年月日または年月)、原材料名、原産国名、事業者名と住所です。この5項目に「ロット番号」は入っていません。回収の知らせでは、対象を商品名と賞味期限などの条件で示す例が、消費者庁のリコール情報サイトで確認できました。
米国FDAは、飼い主向けページで、回収や不具合の報告には「ロット番号(製造のまとまりを示す記号)」が重要で、多くは賞味期限の近くに印字されていると説明しています。ただし、場所も書き方も商品によって違い、「LOT」と書かれていないこともあります。消費者庁のリコール情報サイトには、賞味期限のあとに記号が付いた表記で対象を示した掲載例もありました。記号の意味は事業者によって違うため、分からなければ問い合わせ窓口に確認します。
- 商品名(犬用であること、味や年齢の区分まで)
- 賞味期限(年月日または年月)と、その近くにある記号や番号
- 事業者名と住所(製造業者・輸入業者・販売業者のいずれか)
- 内容量、購入した日と店
- 開封した日(ドライフードは、いつ袋を開けたかも)
これらは、袋をそのまま捨ててしまうと確認できなくなります。米国FDAも、ドライフードを別の容器に移すときは、元のパッケージを食べ終わるまで残すよう案内しています。保存の方法はドッグフードの保存方法と賞味期限の読み方、表示の読み方はドッグフードのパッケージの読み方で解説しています。
回収の対象だと分かったときの動き方
- 与えるのをやめる:対象の条件(商品名・賞味期限など)に当てはまるかを、袋の表示で確かめます。迷うときは、メーカーの窓口に確認します
- 捨てる前に、案内を読む:消費者庁のリコール情報サイトの掲載例には、現品を送り返す方法や、受付の電話番号・受付時間が書かれたものがありました。案内の方法に従う前に捨てると、返金や交換の手続きが分かりにくくなることがあります
- 食べてしまったかを振り返る:いつから、どのくらいの量を与えたかをメモします。体調に変化があれば、そのメモと袋を持って受診します
- 手を洗う:FDAは、ペットフードやおやつを扱ったあとは手を洗うよう案内しています
- 代わりのフードに切り替える:急に替えると便がゆるくなることがあります。切り替え方はドッグフードの切り替え方を参照してください。体調が悪い間の食事は、獣医師の指示を優先します
いつもと色や臭いが違うときは?
環境省のQ&Aでは、いつも購入しているフードの色や臭いがいつもと違うときについて、原料の変更などによる品質上の問題のこともあり、安全上の問題があるとは限らない、まずはメーカーに確認するよう案内している、と回答しています。袋を開けたときに、強いにおい、カビのような見た目、湿っぽさなどに気づいたら、与えずに、袋・賞味期限・購入日を控えたうえでメーカーに連絡します。
また、手元のフードに有害な物質が含まれているかを調べたい場合について、環境省のQ&Aは、FAMICの分析は行政の依頼に基づくものが中心なので、まずは民間の検査機関に、分析ができるかどうかを尋ねるよう案内しています。米国FDAも、民間の検査機関で検査することはできるが、費用がかかることがあると説明しています。
体調が悪いときの動き方:日本と米国で連絡先の考え方が違う
愛犬の体調が悪くなったときの動き方は、公的な説明の中でも、国によって連絡先の考え方が少し違います。次の表に、環境省と米国FDAの案内を並べました。
| 出典 | 案内されている動き方 |
|---|---|
| 環境省(ペットフード安全法Q&A) | ①まずかかりつけの獣医師の治療を受ける ②フードと体調不良の因果関係は、診断治療の結果に基づいて獣医師から助言を得られる場合がある ③同じ製品で同様の被害が出ているかは、メーカーに問い合わせる |
| 米国FDA(アフラトキシン中毒・ペットフードの苦情報告のページ) | ①疑うときはすぐ獣医師を受診し、疑うフードは与えない ②獣医師には、与えているフードやおやつ、そのほかに口にしたものを詳しく伝える ③ラベル(ロット番号・賞味期限)の写真を撮っておく ④報告用のオンライン窓口(Safety Reporting Portal)から苦情を届ける方法がある(米国の制度で、日本の飼い主が使うものではない) |
共通しているのは、まず獣医師、次に袋の情報を手元に残すという点です。FDAは、アフラトキシン中毒を診断できるのは獣医師だけで、症状はほかの毒物でも起こりうるため、獣医師がフードの検査を勧めることがあると説明しています。受診の際に伝えるとよい情報として、FDAのページは次のような項目を挙げています(日本の動物病院でも、状況の説明に役立つ内容です)。
- 商品名、賞味期限、購入日と購入場所、袋の写真
- 犬の年齢・体重・犬種、持病、ほかに与えているごはんやおやつ
- 普段の食べる量と、そのフードをどのくらい食べたか、まだどのくらい残っているか
- 症状(吐く・下痢・元気がないなど)と、食べてからどのくらいで出たか
- 同じフードを食べているほかのペットの様子
FDAは、アフラトキシンの毒素は、カビが目に見えなくてもフードに含まれていることがあると説明しています。見た目や臭いだけで、安全かどうかは判断できません。気になる症状があれば、自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談してください。
日ごろの備え:袋の情報を残す習慣
- 袋は、フードを食べ終わるまで残す。容器に移すなら、賞味期限と事業者名の部分を切り取るか、写真に撮って容器に貼っておく
- 新しい袋を開けたら、開封日をマジックで袋に書く
- 切り替えるときは、新しいフードの袋も写真に残しておく(体調の変化があったときに、いつから何を食べていたかを伝えやすい)
- 気になるニュースを見たら、まず袋の事業者名と賞味期限を確かめ、メーカーの公式サイトで案内を探す
誤って人の食べ物や薬などを口にしたときの対処は、犬が誤飲・誤食したときの対処の記事にまとめています。
まとめ
ドッグフードの回収情報は、飼い主向けに一か所へまとまっている形ではないため、メーカーの案内と消費者庁のリコール情報サイトを中心に、袋の表示(商品名・賞味期限・事業者名)と照らして確認します。回収の対象だったときは、与えるのをやめ、案内に従って返金や交換の手続きを確認します。いつもと色や臭いが違うときは、まずメーカーに確認します。愛犬の体調が悪いときは、調べるより先に、袋の情報とともに獣医師へ相談してください。フード選びの全体像は「ドッグフードの選び方」もあわせてご覧ください。
参考情報源(2026年10月30日確認)
- 環境省「ペットフード安全法Q&A」(Q6-1・6-2・6-3・6-4・6-8)
- 環境省「ペットフード安全法」
- 農林水産省「ペットフードの安全関係」(飼い主からの問い合わせ窓口の案内)
- FAMIC(農林水産消費安全技術センター)「ペットフード Q&A・事業者のみなさまへの注意喚起」
- 消費者庁「リコール情報サイト」(掲載例の詳細ページ・検索結果を確認)
- 一般社団法人ペットフード協会「大切な家族の「食」の安全を確保する法律を知ろう」(2025年1月8日公開)
- 米国FDA「Save Your Pet Food Lot Number!」
- 米国FDA「How to Report a Pet Food Complaint」(2026年7月20日更新)
- 米国FDA「Aflatoxin Poisoning in Pets」



