ベドリントン・テリアは、羊のような巻き毛と洋梨型の頭が目を引く、イギリス原産の小型テリアです。穏やかそうな見た目ですが、もともとは害獣駆除や狩りに使われた犬で、活発で勇敢な面もあるといわれています。この記事では、成り立ち、性格、日本の暮らしで気をつけたい点、迎える前に確認したいことまでを、犬種標準や獣医関連メディアの情報をもとに整理します。
| 原産国 | イギリス |
| 体高 | 約38〜44cm程度(JKCの標準は約41cm) |
| 体重 | 約8〜10.4kg程度 |
| 性格の傾向 | 穏やかで愛情深い、活発で狩猟本能も強いといわれる |
| 平均寿命 | 11〜16年程度 |
ベドリントン・テリアの成り立ち
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準によると、発生の経緯ははっきりしていません。イギリス北東部のノーザンバーランド州の渓谷で、ダンディ・ディンモント・テリアやオッター・ハウンドなどをかけ合わせて作られ、ベドリントン市周辺の炭鉱労働者のペットとして親しまれたとされています。現在の名前がついたのは1825年で、それまではロスベリー・テリアやノーザンバーランド・フォックス・テリアと呼ばれていました。
VCAは、ロスベリー卿がこの犬を気に入ったことから「ロスベリーのラム(子羊)」というあだ名がついたと紹介しています。また、密猟者や炭鉱労働者に使われ、ウィペットと競走させる遊びも行われたとされています。Wikipediaによると、カワウソ猟、アナグマや害獣の駆除、ウサギ追いに使われ、ウィペットが人気になるにつれて役割が移ったと説明されています。JKCによると、1870年にドッグショーで単独の審査クラスが設けられ、クラブが創立されてから形が洗練されて広まりました。日本には1963年に紹介されています。近縁とされる犬種には、ダンディ・ディンモント・テリアやケリー・ブルー・テリアがあり、競走相手になったウィペットとの関わりも語られています。
ベドリントン・テリアの性格
JKCの犬種標準は、活発で勇ましく自信にあふれ、運動能力が高い利口な伴侶犬と表現しています。気立てがよく愛情深く、シャイさや神経質さはなく、普段は温厚ですが、興奮すると勇気が前面に出るとされています。PetMDも、魅力的で愛情深く、忠実で穏やか、家族との結びつきが強いと述べています。VCAによると、遊ぶときは活発で、休むときは静かに過ごせるため、室内の暮らしにも向いているそうです。
一方で、注意したい点もあります。PetMDとVCAはどちらも、獲物を追う本能が強いとしています。ウサギやリス、ときには猫を追いかけることがあり、猫とは子犬のころから正しく引き合わせれば同居できる場合もあるとされています。見知らぬ人には控えめで慎重なことがあり、子犬のころからの社会化が大切です。吠え方の書き方は情報源で分かれ、PetMDはむやみに吠える犬種ではないとし、VCAはよく吠えることがあると述べています。Wikipediaは、ほかの犬との間で嫉妬やけんかが起きやすいという見方も紹介しており、支配的な犬と同居させないよう注意する団体もあるとしています(一部の解説での記載)。
しつけについて、PetMDは、好奇心が強く利口で、一般にしつけやすいとしています。VCAも、喜ばせようとする気持ちがあり、ほめて伸ばす穏やかな方法が向くとしています。きつく扱うと自信を失うことがあるともされています。飽きやすい面があるため、短く楽しい練習を重ねる進め方が合うと考えられます。
身体的特徴
- 体高:JKCの標準はおおよそ41cmで、メスはこれよりわずかに低いとされます。PetMDは15〜17.5インチ(約38〜44cm)、VCAは15〜17インチ前後としています
- 体重:JKCの標準は8.2〜10.4kgです。PetMDとVCA、Wikipediaは17〜23ポンド(約7.7〜10.4kg)としています
- 頭部:JKCによると洋梨型またはくさび形で、静止しているときの表情は温厚で優しいとされています
- 被毛:やわらかく軽い巻き毛で、頭の上に房状の毛(トップノット)があります。色はブルー、レバー、サンディーなどで、タンとの組み合わせもあります(JKC、PetMD)
体型は「優美でしなやか、筋肉質」とされ、VCAは、グレーハウンドに似た深い胸とアーチ状の腰を持つと説明しています。PetMDによると、子犬のころは白っぽく、成長とともに色が濃くなる個体が多いそうです。数値は情報源ごとに表し方が少し異なるため、目安として捉えてください。
飼い方のポイント
運動と頭を使う遊び
PetMDは、極端にエネルギーが高いわけではないものの、毎日の散歩と遊び、頭を使う刺激が必要としています。アジリティ、ラリー、においを探す遊び、ボール遊び、水泳などが向くとされています。VCAも、毎日の適度な運動が必要で、十分に運動したあとなら留守番もできるとしています。
被毛のお手入れとトリミング
PetMDは、毛玉になりやすいため、週に数回のブラッシングと、2か月ごとほどのカット、または数か月ごとのプロによるトリミングを挙げています。摩擦や湿り気のある場所は毛玉ができやすいとされ、目の周りや頭の毛は、視界や目への刺激を考えて整える必要があります。耳の赤みやにおい、分泌物も定期的に確認します。抜け毛は少ないとされますが、アレルギーが起きない犬種ではないとも書かれています。VCAは、独特のカットには技術が必要で、プロのトリマーに任せる飼い主が多いとしています。
食事
PetMDは、銅蓄積症のリスクがある犬には、銅の量が調整されたフードを使うことがあるとしています。食事の内容は自己判断せず、動物病院で相談しながら決めることが大切です。
日本の住環境で気をつけたいこと
集合住宅での暮らし
体重が約8〜10kgと小型で、VCAは室内の暮らしによく適応するとしています。ただし、吠えやすさの評価は情報源で分かれており、来客や物音に反応して吠える可能性は考えておきたい点です。管理規約に犬の大きさや頭数の制限がないか、迎える前に確認してください。
留守番の時間
VCAによると、人と一緒にいたがり、長時間の留守番は得意ではありません。共働きなどで留守番が長くなりやすい家庭では、日中の過ごし方を事前に考えておくと安心です。
散歩と日本の住宅街
狩猟本能が強く、本能は完全には取り除けないとされています(VCA)。住宅街や公園では、リードを離さず、柵のある場所以外では自由にしない工夫が欠かせません。雨の日や梅雨の時期は、巻き毛が湿ると毛玉になりやすいと考えられるため、帰宅後に乾かすことも大切です。トリミングの料金や頻度は、お住まいの地域のサロンで事前に確認してください。
迎える前に確認したいこと
- 親犬の検査結果:PetMDによると、OFA(米国の整形外科財団)は、繁殖前に銅蓄積症、膝蓋骨脱臼、眼疾患の検査を行うことを勧めています。ブリーダーに結果を尋ねるよう案内されています。Wikipediaも、信頼できるブリーダーは子犬にDNA検査を行うとしています
- 目の検査:VCAは、親犬の目が獣医眼科医に検査されているか確認するよう案内しています
- 手入れの体制:日常のブラッシングと、定期的なトリミングを続けられるか。通えるトリマーが近くにあるか
- 留守番と運動:毎日の散歩と遊びの時間、留守番が長くなりすぎない環境を確保できるか
- ほかの動物との暮らし:小動物や猫を追う本能があるため、すでに動物がいる家庭では慣らし方を事前に考えておくこと
- 入手のしやすさ:VCAは、希少な犬種で順番待ちになることがあると述べています。日本国内の入手状況は今回確認できていません
- 費用の見通し:フード代、トリミング代、医療費が10年以上続く費用として考えられるか。ペット保険は入るべきか?メリット・デメリットの記事も参考になります
- 法律上の手続き:生後91日以上の犬は、飼い始めてから30日以内に市町村へ登録し、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせる必要があります(厚生労働省)
- 終生飼養:動物愛護管理法は、平成24年の改正で、飼い主が最後まで責任をもって飼うこと(終生飼養)を明文化しています(環境省)
かかりやすい病気
ベドリントン・テリアがかかりやすいとされている病気には、以下のようなものがあります。すべての個体がかかるわけではありません。気になる症状がある場合は自己判断せず、必ず獣医師に相談してください。
- 銅蓄積症:肝臓に銅がたまり、肝臓に負担がかかる遺伝性の病気です。PetMD、VCA、Wikipediaの3つが挙げており、VCAは最もよく知られた問題としています。PetMDは、元気がない、水を飲む量やおしっこの量が増える、食欲が落ちる、嘔吐や下痢、黄疸、歯ぐきが白っぽいなどの様子を挙げ、食事の調整や、重い場合は薬による管理が行われるとしています。Wikipediaによると、英国の調査では生きている犬の約5%に見られ、死因では肝臓の病気が12.5%を占めたとされています
- 腎臓の病気:VCAは、かかりやすい可能性があるとし、Wikipediaも腎臓の問題が多いと述べています。英国の調査では、泌尿器の病気が死因の15%でした
- 遺伝性の眼疾患:PetMDは、白内障、さかさまつげ(睫毛重生)、瞳孔膜遺残などの割合が平均より高いとしています。Wikipediaは、涙があふれる症状、網膜異形成、白内障を挙げています
- 膝蓋骨脱臼:膝のお皿が正しい位置からずれる病気で、PetMDは痛みや関節炎につながることがあるとしています(一部の解説での記載)
定期的な健康診断を受け、食欲、水を飲む量、おしっこの量、歩き方、目の様子を日ごろから確認しておくことが大切です。
平均寿命
PetMDは11〜16年、VCAは15〜16年、ロイヤルカナンの日本語ページは14〜16歳としています。Wikipediaが紹介する英国の2024年の調査では、平均は13.7年でした。情報源によって数字が異なるため、11〜16年程度がひとつの目安です。個体差があり、飼育環境や健康管理によっても変わります。
まとめ
ベドリントン・テリアは、子羊のような見た目と、活発で勇敢なテリアの気質をあわせ持つ犬種です。毛玉になりやすい被毛のお手入れ、獲物を追う本能への備え、留守番の長さ、銅蓄積症をはじめとする病気の検査状況は、迎える前に確認したい点です。性格や手間、費用を踏まえ、家族全員で準備ができているか確かめてから検討することが望ましいです。気になる症状があれば、自己判断せず必ず獣医師に相談してください。
参考情報源
- ジャパンケネルクラブ「ベドリントン・テリア」(犬種標準)
- PetMD「Bedlington Terrier」
- VCA Animal Hospitals「Bedlington Terrier」
- ロイヤルカナン「ベドリントン テリア」
- Wikipedia「Bedlington Terrier」
- 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」
- 環境省「動物愛護管理法」
ベドリントン・テリアと暮らす人へ
本記事は、JKC(ジャパンケネルクラブ)等の公的資料や獣医療・ペット関連の専門メディアの情報をもとに、編集部で内容を確認のうえ作成しています。編集方針の詳細は運営者情報をご覧ください。



