アメリカン・アキタは、日本の秋田犬をルーツに、アメリカで独自のタイプとして発展した大型犬です。がっしりとした骨太の体つきと、威厳のある落ち着いた雰囲気が特徴といわれています。一方で、見知らぬ人や他の犬への警戒心が出やすいとされ、迎える前に確認したい点も多い犬種です。この記事では、成り立ち、性格、日本の暮らしで気をつけたい点、迎える前に確認したいことまでを、JKCの犬種標準や獣医関連メディアの情報をもとに整理します。
| 原産国 | アメリカ(祖先は日本の秋田犬) |
| 体高 | 61〜71cm程度(JKCはオス66〜71cm・メス61〜66cm) |
| 体重 | 32〜59kg程度 |
| 性格の傾向 | 忠実で勇敢、見知らぬ人には慎重といわれる |
| 平均寿命 | 10〜14年程度 |
アメリカン・アキタの成り立ち
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準によると、祖先は秋田地方の秋田マタギ犬(中型の熊猟犬)で、1603年以降は闘犬にも使われました。1868年以降は土佐犬などとの交雑で大型化し、1908年の闘犬禁止令の後に、大型日本犬として改良と保存が進められたと説明されています。1931年には9頭が天然記念物に指定されました。第二次世界大戦中は、捕獲を逃れるためにジャーマン・シェパード・ドッグを交配したことで交雑がさらに進み、終戦後は「マタギ秋田」「闘犬秋田」「シェパード秋田」という3つのタイプが混在したとされています。
占領軍関係者が出羽系の犬を多数アメリカに持ち帰り、その系統がアメリカの繁殖者に人気を集めました。アキタ・クラブ・オブ・アメリカは1956年に設立され、1972年にAKC(アメリカン・ケネルクラブ)の登録とドッグショーへの出陳が認められています。JKCは、当時JKCとAKCの血統証明書の相互承認がなく、日本との血統交流ができなかったため、1955年頃の犬の質とタイプが固定化され、アメリカ独自のタイプとして発展したと述べています。
どこまでを別の犬種として扱うかは、情報源により異なります。PetMDは同じ犬種の系統が分かれたものと説明し、アメリカ系は日本系より少し大きいとしています。ロイヤルカナンの日本語ページは、国際畜犬連盟(FCI)が秋田犬を日本の品種、アメリカン・アキタを米国の品種として扱っており、独立した品種とみなすかどうかには議論があったと紹介しています。JKCのページでは原産国が「日本」と記載されています。日本の秋田犬については、秋田犬の記事もあわせてご覧ください。
アメリカン・アキタの性格
JKCの犬種標準は、優しく人なつこい性格で、機敏で反応がよく、威厳があり、従順で勇敢と紹介しています。VCA(動物病院グループ)は、忠実で家族を守ろうとする気質があり、見知らぬ人には控えめで、他の犬に対して反応しやすい場合があるとしています。PetMDも、家族とは強い絆を結ぶ一方、初対面の人には最初は慎重になることがあると述べています。
ロイヤルカナンの日本語ページは、見知らぬ人を信用しにくく、他の犬にはやや支配的な傾向があるため、非常に早い時期からの社会化が強く推奨されるとしています。Wikipediaには、古い犬種5種を対象としたポーランドの調査で、アキタの59%が他の犬や動物に攻撃的な行動を示したと紹介されていますが、これは一部の解説での記載です。個体差が大きいため、あくまで傾向のひとつとして捉えてください。なお、PetMDとVCAの解説はアキタ全般が対象で、アメリカン・アキタだけの記述ではありません。
家族との暮らしでは、PetMDが、小さな子どもへの接し方に余裕がない場合があるため、やり取りの場面には大人が付き添うよう案内しています。また、獲物を追う本能から、小型犬や猫を追いかけることがあり、ほかのペットがいない家庭のほうが合うことが多いとしています。VCAは、しつけを身につけたあとは留守番もある程度できるとしています。
身体的特徴
- 体高:JKCの標準はオス66〜71cm、メス61〜66cmです。PetMDとVCAは24〜28インチ(約61〜71cm)としています
- 体重:JKCのページに体重の記載はありません。PetMDとVCAは70〜130ポンド(約32〜59kg)で、Wikipediaはアメリカ系の目安としてオス約45〜59kg、メス約32〜45kgを挙げています
- 頭部:JKCによると、頭部は広くやや三角形に近い形で、マズル(口吻)は深く、目は比較的小さめです。直立した耳は前に傾き、首の後ろのラインに続いているのが特徴とされています
- 被毛:Wikipediaによると、短く密な二重被毛です。JKCは毛色について、レッド、フォーン、ホワイトのほか、ピントー(白地に大きな斑)やブリンドル(縞)もあるとしています
Wikipediaは、アメリカ系はどんな毛色もあり、日本系は赤、フォーン、ごま、ブリンドル、白に限られ、いずれも裏白(白い下側の毛)を伴うと説明しています。
飼い方のポイント
社会化としつけ
VCAは、経験のある飼い主による、一貫した、毅然としながら前向きなしつけが重要だとしています。PetMDも、子犬が家に来た日からしつけと社会化を始めるよう案内し、頭がよい反面、やる気を引き出す工夫が必要としています。ロイヤルカナンも、早い時期からの社会化を強く推奨しています。
被毛のお手入れ
PetMDは、抜け毛が多いため毎日のブラッシングが望ましいとしています。VCAは週1回のブラッシングを基本に、換毛期は抜け毛が多いため手入れの回数を増やすとしており、情報源により頻度の案内が分かれます。爪切りと耳のお手入れも定期的に必要とされています。
運動の量とタイミング
VCAは、運動量は中程度で、決まった時間に構成のある活動を行うのが合うとしています。PetMDは、においを追う散歩、ラリー、アジリティ、ハイキングなどを例に挙げ、食事の前後1時間は運動を控えるよう案内しています。ロイヤルカナンは、屋外のスペースが必要としています。
日本の住環境で気をつけたいこと
夏の暑さへの備え
PetMDは暑さへの耐性が低く、涼しい気候のほうが向くと述べ、VCAも厚い被毛が熱を逃がしにくく、暑さに敏感だとしています。日本の夏は高温多湿になるため、暑い時間帯の散歩を避ける、室内の温度を管理するといった工夫が考えられます。犬の熱中症の記事も参考になります。
集合住宅の規約と近隣への配慮
飼育できる犬の大きさや頭数は、物件の管理規約によって決まっている場合があります。大型犬が可能かどうかは、迎える前に管理会社や契約書で確認しておきたい点です。賃貸で犬と暮らす記事も参考になります。吠える量について、VCAは「低〜中程度」と紹介しています。ただ、来客や宅配への反応は個体によって異なるため、玄関にゲートを設けるなどの工夫が考えられます。
散歩中の他の犬との距離
他の犬に反応しやすい場合があるとされるため(VCA、ロイヤルカナン)、人通りの多い道では他の犬との距離を保てる散歩コースを選ぶ工夫が考えられます。大型犬の首輪やリードの選び方は、大型犬向けグッズの選び方で整理しています。
迎える前に確認したいこと
- 経験と学ぶ姿勢:PetMDとVCAは、経験のある飼い主のほうが向くと述べています。しつけ教室や専門家に相談できる体制があるかも考えたい点です
- 社会化の時間:子犬の時期から、さまざまな人や犬に慣らす時間を確保できるか
- 他のペットや小さな子どもとの暮らし:ほかの犬や猫と同居する場合は、慎重に検討します。小さな子どもとの接し方は、大人が付き添う前提になります(PetMD)
- 暑さ対策:夏の室温管理と、散歩の時間帯を調整できるか
- 住まいの規約:大型犬の飼育が認められているか、犬の頭数や大きさの制限がないか
- 費用の見通し:フード代、医療費が10年以上続く費用として考えられるか。ペット保険は入るべきか?メリット・デメリットの記事も参考になります
- 定期的な健康診断:PetMDは、関節の問題を早く見つけるために、定期的な健康診断を受けるよう案内しています
- 海外への帯同:Wikipediaによると、国や住宅の規則により、アキタの飼育を制限している例があります(米国、バミューダ、アイルランドなど)。海外に連れて行く可能性がある場合は、事前の確認が必要です
- 法律上の手続き:生後91日以上の犬は、飼い始めてから30日以内に市町村へ登録し、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせる必要があります(厚生労働省)
- 終生飼養:動物愛護管理法は、平成24年の改正で、飼い主が最後まで責任をもって飼うこと(終生飼養)を明文化しています(環境省)
かかりやすい病気
アメリカン・アキタを含むアキタがかかりやすいとされている病気には、以下のようなものがあります。すべての個体がかかるわけではありません。気になる症状がある場合は自己判断せず、必ず獣医師に相談してください。
- 胃拡張胃捻転:胃がガスなどでふくらんだり、ねじれたりする緊急性の高い病気で、胸が深い体型の犬でリスクがあるとされています。PetMD、VCA、Wikipediaの3つが挙げています。PetMDは、吐こうとしても吐けない、落ち着きなく歩き回る、お腹がふくらむといった様子を症状の手がかりとして紹介しています
- 股関節形成不全:股関節がうまくかみ合わず、関節炎や痛みにつながる病気で、PetMD、VCA、Wikipediaが挙げています。PetMDは、定期的な健康診断が早期発見の手がかりになるとしています
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが不足する病気で、PetMD、VCA、Wikipediaが挙げています。Wikipediaは、自己免疫が関わるタイプがあると説明しています
- 免疫が関わる皮膚の病気:皮脂腺炎(PetMD、Wikipedia)や落葉状天疱瘡(VCA、Wikipedia)が挙げられています。免疫の働きが自分の皮膚を攻撃してしまうタイプの病気とされています
- 目の病気:進行性網膜萎縮症(VCA、Wikipedia)、白内障(PetMD、VCA)、小眼球症(PetMD、Wikipedia)などが挙げられています
このほか、肘関節形成不全や膝蓋骨脱臼(VCA)なども挙げられています。VCAは、ここに挙げた病気が全てではないとしています。定期的な健康診断を受け、食欲、体重、歩き方、皮膚や目の様子を日ごろから確認しておくことが大切です。
平均寿命
PetMDとVCAは10〜14年、ロイヤルカナンは10〜15歳としています。Wikipediaが紹介する英国の調査では、アキタの平均寿命は11.4年でした。情報源により幅があるため、10〜14年程度がひとつの目安です。個体差があり、飼育環境や健康管理によっても変わります。
まとめ
アメリカン・アキタは、日本の秋田犬をルーツにアメリカで発展した、がっしりとした大型犬です。家族には忠実で勇敢な一方、見知らぬ人や他の犬への警戒心が出やすいとされるため、子犬期からの社会化と一貫したしつけが大切といわれています。日本の夏の暑さや、集合住宅の規約も、迎える前に確認しておきたい点です。気になる症状があれば、獣医師に相談してください。
参考情報源
- ジャパンケネルクラブ:アメリカン・アキタ(犬種標準)
- PetMD:Akita
- VCA Animal Hospitals:Akita
- ロイヤルカナン:アメリカン アキタ
- Wikipedia:Akita(アキタ)
- 厚生労働省:狂犬病に関するQ&A
- 環境省:動物愛護管理法
アメリカン・アキタと暮らす人へ
本記事は、JKC(ジャパンケネルクラブ)等の公的資料や獣医療・ペット関連の専門メディアの情報をもとに、編集部で内容を確認のうえ作成しています。編集方針の詳細は運営者情報をご覧ください。



