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避妊・去勢後の犬のごはんは減らす?太りやすい理由と、量の見直し方・体型チェック

避妊・去勢手術が無事に終わってほっとしたものの、「前と同じ量のごはんでいいの?」「手術のあと、やけにねだるようになった気がする」と迷っていませんか。かわいくおねだりされると、減らしづらいですよね。この記事では、獣医師が監修・執筆したペット情報サイト、アメリカの動物病院グループ、動物病院の団体のガイドライン、ペットフードメーカーの解説をもとに、手術後のごはんの考え方をまとめました。結論から言うと、手術後は必要なエネルギーが下がるとされるため、「同じ量を続けない。ただし、いきなり大きく減らさず、体重と体型を見ながら少しずつ調整する」が出典に共通する考え方です。1日の量の計算は「犬のご飯の量は1日何グラム?」のツールで確認できます。

先に確認:量の調整より、動物病院に相談したい様子

次のような様子があるときは、ごはんの量を変える前に、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

  • 手術後、病院から言われた時期を過ぎても食欲が戻らない、嘔吐や下痢が続く(食べないときの考え方は「犬がご飯を食べない原因と受診の目安」)
  • 量を調整しても体重が増え続ける、または急に増えたりやせたりする(AAHA〔米国動物病院協会〕は、甲状腺機能低下症などの内分泌の病気が肥満に関わることがあると説明しています)
  • 成長期の子犬で手術を受けた(AAHAは、手術が若い時期に行われることが多く、成長に必要な量を満たしながら与えすぎを避けるのは難しいと説明しています。減らす量は獣医師と決めましょう)
  • 療法食を食べている、持病がある(獣医師の指示を優先します)

手術のあとに太りやすいといわれる理由

複数の出典で共通しているのは、手術後は必要なエネルギーが下がる、という点です。AAHAのガイドライン(2021年)は、避妊・去勢後はエネルギー要求量が下がり、摂取量を減らす必要があると述べています。PetMD(獣医師レビュー)も、手術を受けた犬は受けていない犬より必要なカロリーが少ないとしています。

英国のRoyal Kennel Club(獣医学の団体ではなく、犬の団体)は、背景として次の3点を挙げています。

  • ホルモンの変化で代謝が落ち、必要なカロリーが減る
  • オスは交尾の相手を探して歩き回ることが減るなど、活動量が下がりやすい
  • エストロゲンには食欲を抑える働きがあるとされ、なくなると食べる量が増えることがある

アニコム損保の獣医師監修記事も、手術後は必要なカロリーが減る一方で食欲が増すことがあり、同じ感覚で与えるとカロリーが超えやすいと説明しています。つまり「欲しがる様子」と「実際に必要な量」がずれやすい時期だといえます。

手術当日・翌日のごはんは、病院の指示が先

術後すぐの食事は、病院によって指示が異なります。VCA(米国の動物病院グループ)の術後の案内では、帰宅して数時間後に普段の夕食の半分ほどを与え、まだ空腹そうなら約1時間後に残りを与える例が紹介されています。全身麻酔のあとは吐き気が出る犬もいるため、分けて与えることで負担を減らせる、という考え方です。長期的な量の見直しは、傷口や体調が落ち着いてから進めます。

出典ごとの数字の違い:「30%」「10%」をどう読む?

手術後の量について、出典ごとに書かれていることは次のとおりで、数字に幅があります。

出典書かれていること
アニコム損保(動物辞典)手術後は代謝エネルギー量が20〜30%程度減るとされる。食事量を調整し、適度な運動を続ける。手術後用の低カロリーフードもある
アニコム損保(犬との暮らし大百科・獣医師監修)手術で必要なカロリーが約30%減り、食欲は増す。カロリー計算では、手術後の成犬は安静時エネルギー量×1.6(未手術の成犬は×1.8)が目安。フードの表示量は目安で、体重と体型を見て調整する
PETOKOTO(獣医師執筆)術後は食事量を30%減にすべきといわれているが、個体差があるため、獣医師に相談しながら調整する
ロイヤルカナン ジャポン(メーカー)手術後は必要エネルギーが30%以上減る。手術後はできるだけ早く、手術後向けのフードへの切り替えを検討する
Royal Kennel Club(英国・獣医学団体ではない)手術後は、まず量を10%ほど減らすことから始める。パッケージの目安は出発点で、体重と体型を定期的に確認する
AAHA(米国動物病院協会)手術後はエネルギー要求量が下がり、摂取量を減らす必要がある。体型(BCS)を頻繁に確認する。減らす割合の数字は示していない
VCA(米国の動物病院グループ)手術を受けた犬は肥満のリスクが高く、体型と体重を定期的に確認して量を調整する。量を決めたら3〜4週間ごとに体重を測り直す。減らす割合の数字は示していない
PetMD(獣医師レビュー)手術を受けた犬は必要なカロリーが少ない。体型のチェック(BCS)で量を微調整する。減らす割合の数字は示していない

編集部の整理:「30%」は「必要なエネルギーがどれだけ下がるか」を表す数字で、「10%」は「量を変えるときの最初の一歩」を示す数字です。同じものさしではありません。たとえばアニコム損保の計算式では、係数が1.8から1.6に下がり、差は約11%(編集部の計算)にとどまります。手術前に与えていた量が多めだったか少なめだったか、活動量や体質でも変わります。そのため、「一律に30%減らす」より、「少し減らして、体重と体型で調整する」ほうが無理がありません。割合は目安で、愛犬に合う量は獣医師に確認してください。

量の見直しの進め方

  1. いまの様子を記録する:手術前後の体重と体型(下の「体型チェック」参照)を記録します。
  2. 1日に食べているものをすべて書き出す:フード、おやつ、トッピング、薬を包むための食べ物も入れます。
  3. 少し減らして始める:パッケージの目安や量の計算ツールを参考に、まずは1割ほど減らす例があります(Royal Kennel Club)。成長期の子犬や持病がある犬は、獣医師と決めてから進めます。
  4. 3〜4週間ごとに体重を測り、体型を見る:VCAは、量を決めたあと3〜4週間ごとの確認を紹介しています。
  5. 増減に合わせて微調整する:体重が増えるなら少しずつ減らし、やせすぎてきたら戻します。1回の変更幅は大きくしないようにします。

1日の回数の考え方は「犬のごはんは1日何回?」、体重が増えてしまったときの進め方は「犬の体重、増えてきて気になりますよね」も参考にしてください。

体型チェック(BCS)のやり方

VCAは、体重計の数字よりもボディコンディションスコア(BCS)のほうが大切と説明しています。PETOKOTO(獣医師執筆)は、BCSを5段階で見て、3が理想としています。家でも次の点を確かめられます。

  • 肋骨を軽く触って確かめられるか(脂肪が厚いと触れにくくなります)
  • 上から見たとき、肋骨の後ろに腰のくびれがあるか
  • 横から見たとき、お腹が引き締まって後ろに向かって上がっているか

毛が長い犬や被毛が厚い犬は、見た目だけでは分かりにくいため、触って確かめるのが確実です。診察のときに、獣医師にBCSの見方を教えてもらうこともできます。

おやつ・トッピング・フードの選び方

おやつ・トッピングは、1日の10%以内を目安に

AAHAは、おやつなどフード以外の食べ物は1日のカロリーの10%以内に収めるよう案内しています。手術後は量を調整しているぶん、おやつが増えると見直しの効果が見えにくくなります。トッピングの量は「犬のごはんのトッピング、量はどれくらい?」を参照してください。

手術後向けのフードもある

アニコム損保は、手術後用の低カロリーのフードがあると紹介しています。ロイヤルカナン ジャポンは、手術後向けの製品について、低脂肪で満腹感を得やすく、タンパク質が豊富な設計と説明しています(メーカー情報です)。メーカーによっては、こうした製品が療法食に分類されていて、「獣医師の診断・指導のもとで使用する」と案内されている場合があります。手術後向けのフードにするかどうか、いまのフードの量を減らして対応するかは、犬の体重・年齢・持病で変わるため、獣医師に相談して決めましょう。フードを切り替えるときは、「ドッグフードの切り替え方」のように数日かけて混ぜながら進めます。

運動は続ける

Royal Kennel Clubは、筋肉が代謝を支えるため、運動を続けることを案内しています。AAHAは、減量では運動より食事の管理の影響が大きいとしつつ、運動は筋肉量の維持やエネルギー消費に役立つ可能性があると説明しています。手術の傷が治るまでの運動は、獣医師の指示に従ってください。

手術後のごはんで気をつけたい点

  • 手術後すぐのごはんは、病院の指示に従う
  • 「前と同じ量」を続けない。ただし、一度に大きく減らさない
  • ごはんの量を決めたら、おやつ・トッピングも合わせて数える
  • 体重だけでなく、肋骨の触れ方と腰のくびれで体型を確認する
  • 3〜4週間ごとに見直し、増減に合わせて少しずつ調整する
  • 成長期の子犬や持病がある犬は、減らす量を自己判断で決めない

なお、手術を受けるかどうか、受ける時期については、この記事では扱っていません。犬種や体格によって考え方が異なるため、獣医師と相談して決めてください。

食欲や体重の変化、体調の変化が気になるときは、自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

まとめ

避妊・去勢手術のあとは、必要なエネルギーが下がる一方で、食欲が増すことがあるとされています。減らす幅は出典によって「10%」から「30%」まで幅があるため、数字にとらわれず、まずは少し減らし、3〜4週間ごとに体重と体型(肋骨の触れ方・腰のくびれ)を確認して微調整するのが基本です。おやつやトッピングを含めた1日の合計で考え、成長期の子犬や持病がある犬、体重が増え続ける場合は、獣医師に相談しましょう。


参考情報源(2026年10月24日確認)