「寒くて散歩に行きたがらない」「服は着せたほうがいいのか分からない」「雪や凍結した道で肉球が心配」――冬は、散歩まわりの悩みが増える時期です。まず結論からお伝えします。アニコム損保の記事では、寒い時期の散歩は、室温と外気温の差が激しいと体がこわばってケガをしやすくなるとされ、シングルコートや被毛の短い犬種、暑い地域原産の犬種には洋服を着せるなどの配慮が必要とされています。また、雪や凍結を防ぐために撒かれる融雪剤(塩化カルシウム)が肉球に触れると、赤くなったり皮がむけたりすることがあり、舐めると嘔吐・下痢・腹痛が出ることがあるため、雪で濡れた足は舐めさせないよう書かれています。散歩のあとに肉球が赤い、痛がる、何度も舐める、足をひきずるといった様子があれば、様子見をせず動物病院に相談してください。
この記事では、犬のタイプ別の寒さの感じ方、肉球と融雪剤・雪・不凍液の注意点、散歩の時間帯や服・帰宅後の足ケアの工夫、グッズの選び方、受診のサインを、獣医師監修の資料をもとに整理しました(情報確認日:2026年10月12日)。なお、「何℃以下なら散歩を控える」といった一律の気温の基準は、今回確認した資料には見当たらなかったため載せていません。犬種・年齢・被毛・体調で変わるため、愛犬の様子を見て判断してください。具体的な商品名・メーカー名は出さず、選び方の観点を中心に紹介します。
まず確認:すぐ動物病院に連絡したいサイン
冬の散歩のあとに次のような様子があるときは、家庭のケアで様子を見る前に、動物病院に連絡してください。
- 肉球が赤い、腫れている、痛がる、足をひきずる、同じ場所を何度も舐める:ペット&ファミリー損保(獣医師監修)の記事では、「肉球が赤い」「痛がる」「舐める」「びっこをひく」などの症状が出たら、まず動物病院を受診するよう書かれています
- 融雪剤や雪解け水で濡れた足を舐めたあと、嘔吐・下痢・腹痛がある:アニコム損保の記事で、融雪剤を誤って口にしたときの症状として挙げられています
- 車の下や駐車場の液体を舐めたかもしれない:アニコム損保の病気大百科では、自動車のラジエーター不凍液などに含まれるエチレングリコールは甘い味がして誤って摂取しやすく、摂取後1〜2時間以内にふらつきや眠そうな様子が出て、その後24〜72時間ほどで急性腎障害が進むことがあり、命にかかわることも多い中毒とされています。「気が付いた段階ですぐにでも動物病院を受診する」よう書かれています
- 震えが止まらない、ぐったりしている、元気や食欲がない:寒さだけが原因とは限りません。原因の見分け方は犬が震える原因の記事も参考にしてください
冬の散歩で気をつけたい理由(原因・背景)
寒さの感じ方は、犬によって違う
アニコム損保の記事(犬百科編集部、2024年12月5日更新)では、犬の被毛にはオーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)があり、両方を持つ「ダブルコート」の犬は寒くなるとアンダーコートが増える一方、オーバーコートのみの「シングルコート」の犬は保温してくれるアンダーコートがなく、寒さに弱い傾向があると説明されています。暑い地域原産の犬種は、アンダーコートが極端に少なく寒さを感じやすい場合もあるとされています。
| 犬のタイプ | 資料に書かれている内容 | 散歩での配慮 |
|---|---|---|
| シングルコート(例:トイ・プードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、パピヨン、ミニチュア・ピンシャー) | 保温してくれるアンダーコートがなく、寒さに弱い傾向がある | 洋服を着せるなどの配慮(アニコム損保)。小型犬は風の穏やかな時間に(アニコム損保) |
| ダブルコート(例:柴犬、コーギー、ポメラニアン、ラブラドール・レトリーバー) | 寒くなるとアンダーコートが増える。ただし犬種によって毛量は異なる | 犬種・毛量・体調を見て判断する |
| 被毛の短い犬種・暑い地域原産の犬種 | アンダーコートが少なく、寒さを感じやすい場合がある | 洋服を着せるなどの配慮(アニコム損保) |
| 子犬・シニア犬・病気のある犬 | 資料では、散歩はお天気の良い暖かい時間に出るようにとされている | 暖かい時間帯に。散歩の可否や長さが心配なときは獣医師に相談 |
| 長毛の犬種(雪の日) | 雪が毛に絡んで雪玉ができ、足首・内股・お尻など体温調整に関わる血管が通る部分が冷え、体温が下がったり凍傷になったりするおそれがある | 雪玉をこまめに取る。雪深い日はスノーウエアやシューズの利用も(アニコム損保) |
寒がっているときのサインとして、同記事では「小さく丸くなる」「小刻みに震える」「布団や毛布にもぐる」「散歩に行きたがらない」が挙げられています。つまり、冬に散歩を嫌がるのは「わがまま」ではなく、寒さのサインのことがある、ということです。一方で、同じ資料では、雪が降れば喜んで遊ぶ犬もいて、雪を楽しめるかどうかも犬によって異なるとされています。室内の寒さ対策や留守番中の暖房は、冬の防寒・留守番暖房の記事にまとめています。
肉球は寒さに強い仕組みがあるが、雪・氷・融雪剤は別
ペット&ファミリー損保の記事(森井知里獣医師監修、2025年3月6日作成)では、肉球の内部は動脈と静脈が直接つながっていて、肉球裏の静脈が冷えても動脈を通る血液で温め直すことができるため、地面の熱や冷気による影響をある程度やわらげ、寒い場所でも元気に走れると説明されています。そのうえで同記事は、冬は霜焼けを予防するために雪や氷を避けることが大切だとしています。また、散歩後に手足を拭いたり洗ったりすること、濡れたまま放置せず水分をふき取ることをすすめています。
融雪剤・雪・不凍液で起こりうること
- 融雪剤(凍結防止剤):アニコム損保の記事では、路面凍結防止に使われる融雪剤には「塩化カルシウム」が含まれ、肉球などに触れると炎症を起こして赤くなったり、皮がむけたりすることがあるとされています。誤って口にすると中毒症状が出て、嘔吐・下痢・腹痛が見られることがあるため、雪で濡れた足は舐めさせないよう書かれています
- 雪が指の間に残ったとき:アニコム損保の病気大百科では、雪が付いたままや、解けて濡れた状態のままだと、指と指の間がジクジクして皮膚病になることがあると説明されています
- 不凍液(エチレングリコール):上記のとおり、命にかかわることの多い中毒です。同記事では、最近は室内で過ごす犬が増えて誤食は減ったとされていますが、散歩中に車の下などの液体を舐めさせない注意は、冬に限らず必要です(この点の具体的な場面は編集部の補足です)
雪が積もる地域・凍結防止剤が撒かれる地域では特に関係が深い内容ですが、雪の少ない地域でも、霜や冷え込みの強い朝の散歩、肉球の乾燥(犬の乾燥肌・肉球のひび割れの記事を参照)には当てはまります。
今日からできる対策
1. 散歩の時間と長さを、寒さに合わせる
- 風の穏やかな時間、暖かい時間に出る:アニコム損保の病気大百科では、子犬・シニア犬・病気のある犬の散歩は、お天気の良い暖かい時間に出るようにし、成犬でもチワワやトイ・プードルのような小型犬は、なるべく風の穏やかな時に出るようにとされています。子犬の散歩デビューの日に北風が強いと、散歩に嫌なイメージがついてしまうことがあるとも書かれています
- 無理に連れ出さず、無理にやめすぎない:同じ資料では、日光に当たることがカルシウム合成や神経伝達ホルモン(セロトニン)の生産に重要で、適度な運動が体調維持に大切とされています。シニア犬は加齢で寒さに弱くなる一方、筋肉量を維持するために、できるだけ散歩に連れていくようすすめられています。寒そうな日は、時間帯をずらす、短めにする、服を着せるなどの調整が現実的です(散歩を減らす場合の排尿の注意は、冬に犬が水を飲まないときの記事を参照)
- 暑い日・雨の日とは別の配慮が要る:夏や雨の日の散歩は散歩の悩み(雨の日・暑い日)の記事にまとめています
2. 服は「必要な犬に、短時間」
アニコム損保の病気大百科では、寒さが苦手なタイプの犬には防寒具として洋服を着せてもよいとされています。最初は服を嫌がる犬も多いため、「よく似合うね」などと褒めながら着せて、「服を着ること」と「うれしいこと」を結びつけるのがポイントで、最初はベストなど簡単に着脱できる服から始めるよう書かれています。ただし、常時着せていると蒸れて皮膚病を誘発することがあるため、帰宅して暖房のきいた部屋に入ったら脱がせるようにとされています。
3. 帰宅後に足をケアする
- 拭く・洗う:ペット&ファミリー損保の記事では、散歩後に手足を拭いたり洗ったりし、濡れたまま放置せずにすぐ水分をふき取ることがすすめられています。融雪剤のある道を歩いた日は、拭くだけでなく洗うほうが安心です(この点は編集部の補足です)
- 指の間までしっかり乾かす:アニコム損保の病気大百科では、乾いたタオルで拭き、ドライヤーなどで乾かすよう書かれています。温風を近づけすぎたり、同じ場所に当て続けたりしないよう注意してください
- 雪玉を取る:長毛の犬種は、足首・内股・お尻にできた雪玉を長く放置すると体温が下がるおそれがあるため、散歩の途中でも帰宅後でもこまめに取ります
- 舐めさせない:雪や融雪剤で濡れた足は、拭いて乾くまで舐めさせないようにします(アニコム損保)
4. 歩く場所を選ぶ
ペット&ファミリー損保の記事では、冬は霜焼けを予防するために雪や氷を避けることが大切とされています。融雪剤が撒かれて白い粒が残っている道や、車の下・駐車場の液体のある場所を避けて歩く、地面のものを口にしないよう気をつける、といった工夫が考えられます(避ける場所の例は編集部の補足です)。地面のものを口にしてしまう癖がある犬は、拾い食いの記事も参考にしてください。
5. 肉球の保湿と、足まわりの毛のカット
ペット&ファミリー損保の記事では、肉球の乾燥やひび割れの予防としてワセリンや保湿クリームを塗ると肉球の保湿性が高まるとされています。ただし、頻繁に塗ったり一度に大量に塗ったりして不快感が増すと、逆に舐める原因になるため、少量を薄く塗るよう書かれています。また、肉球の間の毛が伸びていると滑りやすく、濡れると蒸れて細菌が増えやすいため、定期的にカットするようすすめられています。肉球を舐める行動の原因は犬が足・肉球を舐める原因の記事で整理しています。
グッズで対策する場合の選び方のポイント
冬の散歩まわりには、次のような商品カテゴリーがあります。特定の商品が凍傷・皮膚炎・肉球のトラブルを防ぐと示すものではありません。愛犬の体格・被毛・性格に合うかで選んでください。
- 犬用の服(ベスト・コート・スノーウエア):サイズ(首まわり・胴まわり・着丈)が合うか、手足を動かしやすいか、着脱しやすいか、洗いやすいかを確認します。蒸れが気になる犬には、室内では脱がせる前提で選びます
- 犬用のシューズ:アニコム損保の記事では、雪深い日の散歩や融雪剤の心配があるときに、スノーウエアやシューズの利用が挙げられています。サイズが合わないと歩きにくくなることがあるため、足の大きさを測って選び、嫌がる犬には無理に履かせず、室内で少しずつ慣らします(慣らし方は編集部の補足です)
- 肉球用の保湿クリーム・バーム:舐めてしまう可能性があるため、犬用として販売されている製品を選び、成分表示を確認します。塗る量は少量にとどめます
- 足拭き用のタオル・ウェットシート:玄関に置いておくと、帰宅後すぐ拭けます。拭いたあと、指の間まで乾かすことが大切です
- 温度計:散歩に出る前の外の様子の目安になりますが、寒さの感じ方は犬によって違うため、数字だけで判断せず愛犬の様子を優先します
一方で、グッズを買わなくてもできることとして、散歩の時間帯を暖かい時間にずらす、風の強い日は短めにする、帰宅後に足を拭いて乾かす、融雪剤の撒かれた道を避ける、舐めさせない、肉球の毛を整える、気になる症状は動物病院で相談する、があります。
注意点
- 服の着せっぱなしに注意:蒸れて皮膚病を誘発することがあるため、室内では脱がせます(アニコム損保)
- 「寒いから散歩は不要」とも「元気だから大丈夫」とも決めつけない:散歩を嫌がるのは寒さのサインのことがありますが、震えが続く、元気がない、足を痛がるなどがあるときは、寒さ以外の原因もあり得ます。震えの原因の記事も参考にしてください
- シニア犬・持病のある犬:寒さに弱くなる一方、散歩で筋肉量を保つことも大切とされています。足腰の衰えが気になる場合は関節症・足腰の衰えの記事も参考に、散歩の長さや時間帯はかかりつけの獣医師に相談してください
- 凍った路面では、歩く速度を落とす:滑って足を痛めないよう、リードは短めに持ち、急に走らせないようにします(編集部の補足です)
- 肉球のケアでかえって悪化させない:赤みや腫れ、においがあるときは、保湿クリームなどで様子を見る前に受診してください。原因によって治療が異なります(ペット&ファミリー損保)
気になる症状が続く場合は、自己判断せず獣医師に相談してください。
まとめ
冬の散歩は、「犬のタイプ(被毛・年齢・体調)に合わせて、時間帯・服・長さを調整する」「帰宅後に足を拭いて乾かし、融雪剤や雪で濡れた足を舐めさせない」「雪や氷、融雪剤のある道、不凍液の可能性がある液体を避ける」の3つが出発点です。服は必要な犬に短時間とし、室内では脱がせます。ただし、肉球が赤い、痛がる、足をひきずる、何度も舐める、融雪剤を舐めたあとに嘔吐や下痢がある、車の下の液体を舐めたかもしれない、震えが止まらずぐったりしているといったときは、様子見をせず動物病院に連絡してください。子犬・シニア犬・持病のある犬は、散歩の可否や長さを、かかりつけの獣医師に確認してください。



