夜中に急に鳴き出す。部屋の中を同じ方向にぐるぐる歩き続ける。名前を呼んでも反応が薄い。そんな愛犬の姿を見て、「これは年のせい? それとも病気?」と戸惑っていませんか。
夜中に急に鳴かれると、びっくりするよね…。年のせいなのかな、病気なのかな。
眠れない夜が続くと、飼い主さんの心もすり減っちゃうよね。
どうしてあげたらいいのか、分からなくなるよ…。
その気持ち、よく分かるよ。いっしょに順番に見ていこう。
パドとクムは、わが家の愛犬をモデルに、AIで描いたキャラクターです
眠れない夜が続くと、飼い主さんのほうも心身ともに疲れてしまいます。「どうしてあげたらいいのか分からない」と感じるのは、とても自然なことです。
この記事では、まず「すぐ動物病院に連絡したいサイン」を先にまとめ、そのあとで、認知症が起こる背景と、今日から始められる環境づくり・声かけ・グッズ選びの考え方を順に紹介します。なお、夜鳴きや徘徊は認知症以外の理由で起こることもあるため、症状が続くときは獣医師に相談してください。
こんなときは、様子を見ずに動物病院へ連絡を(すぐ連絡したいサイン)
認知症に似た様子は、ほかの病気や痛みが関わっていることもあります。次のような様子があるときは、「年のせい」と決めつけず、早めにかかりつけの動物病院へ連絡して相談してください。
- 夜鳴きや徘徊が、急に始まった、または急に強くなった
- 食欲が落ちた、体重が減ってきた(食べないときの受診の目安)
- 触ると痛がる、立ち上がるのをつらそうにしている
- ふだんと明らかに違う様子が続いている
※ここでの目安は一般的な傾向であり、診断ではありません。気になる症状があれば獣医師に相談してください。
株式会社エレメントが2026年8月に全国の犬の飼い主130人に行った調査では、愛犬の認知症の症状を「詳しくは知らなかった」と答えた人が63.1%でした。介護で最も負担に感じることとして「精神的ストレス・メンタルの悪化」を挙げた人も57.7%と最多で、同じように悩む飼い主さんが少なくないことがうかがえます。
なぜ起こるのか(原因・背景)
犬の認知症は、加齢に伴う脳の変化によって記憶力や見当識(今どこにいるか、何をしているかを認識する力)が低下することで起こるとされています。動物病院の解説によると、11〜12歳の犬の約28%に何らかの行動変化がみられるといわれ、犬の高齢化が進むにつれて身近な悩みになってきています。よくみられる初期サインとして、夜中に理由もなく鳴く、部屋の中を同じ方向にぐるぐる歩き回る、壁や家具にぶつかることが増える、名前を呼んでも反応が薄くなる、トイレの失敗が増える、昼夜が逆転する、といった変化が挙げられます。
これらの変化は「年のせい」と見過ごされがちですが、脳腫瘍やてんかん、痛みを伴う病気など、認知症以外の原因で似た症状が出ることもあります。自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに動物病院に相談することが勧められています。
今日からできる対策
生活環境を見直す
徘徊でぶつかりやすい家具の角や段差を減らし、動線をシンプルにしておくと、犬の混乱やケガのリスクを減らせます。夜間はやわらかい照明をつけておく、朝は日光を浴びる時間を作るなど、体内時計を整える工夫も昼夜逆転の緩和につながるとされています。
昼間の活動量・脳への刺激を増やす
無理のない範囲での散歩の継続、においを使った探索遊び(ノーズワーク)、知育玩具などで脳に刺激を与えることが、症状の進行を緩やかにする可能性があるといわれています。昼間にしっかり活動させることで、夜間の睡眠リズムが整いやすくなる面もあります。
足腰が弱ってきたときの見直し方は、関節・足腰のケアの記事も参考にしてください。
トイレの失敗には叱らず対応する
認知症によるトイレの失敗は、本犬の意思とは関係なく起こります。叱ることでかえって不安が強まることがあるため、粗相を見つけても叱らず、こまめに排泄のタイミングを見て誘導することが勧められています。
グッズで対策する場合の選び方のポイント
認知症ケアで検討されることが多い商品カテゴリーには、次のようなものがあります。段階的な情報提供の一環として、ここでは具体的な商品名やメーカー名は挙げず、選ぶ際に見ておきたい観点を紹介します。
- 介護用マット・クッション:床ずれ(褥瘡)を防ぐ低反発素材か、防水・洗濯可能な素材かを確認する
- サークル・徘徊防止用の囲い:角がなく、体をぶつけてもケガをしにくいクッション性のある素材かを確認する
- ノーズワークマット・知育玩具:誤飲しにくいサイズ・素材か、犬の年齢や噛む力に合っているかを確認する
- ペット用おむつ・マナーウェア:シニア犬の体型に合うサイズか、長時間使用しても蒸れにくい素材かを確認する
注意点
夜鳴き・徘徊・トイレの失敗といった症状は、認知症以外の病気(脳の病気や痛みを伴う疾患など)によって起こることもあります。自己判断で「年のせい」「認知症だろう」と決めつけず、症状が続く場合や急に強くなった場合は、早めに動物病院を受診してください。また、脳への刺激を目的とした散歩や運動は大切ですが、シニア犬の体調や関節の状態を無視して運動量を急に増やすと、かえって負担になり逆効果になる場合があります。獣医師に相談しながら、その子の体力に合った範囲で進めることが大切です。
介護は飼い主だけで抱え込まず、動物病院への定期的な相談に加えて、ペットシッターや老犬デイケア・老犬ホームといった外部サービスを利用することも選択肢の一つです。グッズによる対策だけでなく、こうしたサービスも組み合わせることで、飼い主の負担を減らしながら愛犬のケアを続けやすくなります。
老犬介護全体の準備(住環境・経済面)は老犬介護の記事に、備えとしての保険は高齢犬の加入の目安にまとめています。年齢の目安は年齢換算ツールで確認できます。
まとめ
犬の認知症は11〜12歳ごろから増え始め、夜鳴きや徘徊、トイレの失敗といった形で現れることがあります。生活環境の見直しや昼間の活動量の確保など、今日からできる工夫で症状の負担を和らげられる可能性がある一方、似た症状を示す他の病気もあるため、気になるサインが続く場合は早めに動物病院へ相談しましょう。グッズだけに頼らず、外部サービスも含めて無理のない形で愛犬と向き合っていくことが大切です。
ここまで読んでくれてありがとう。眠れない夜も、ひとりで抱え込まないでね。
無理のない形で、ゆっくりいっしょに向き合っていこうね!



